ヤマハは10月5日、遠隔地の演奏者同士によるリアルタイム同時演奏を可能にする技術「NETDUETTO(ネットデュエット)」を開発したことを発表した。
これまでにもネットワークで複数拠点をつないでオーディオデータなどのやりとりを行って楽曲制作を行ったり、リアルタイムセッションを行うための製品やサービスは提供されていたが、同社によると「遅延が気にならないレベルでのやりとりを実現するには、専用線などの特別な環境を必要とする場合や、ルーターの設定といった専門的な知識が必要とされることが多かった」とされている。
今回同社が発表した「NETDUETTO」はこのようなハードルをなくし、手軽に(一般家庭でも)合奏や重唱を楽しめるようにするもの。
この技術を使った遠隔地間での同時演奏は、専用のクライアントソフトウェア(Windows、Mac OS Xに対応)をインストールしたPCと楽器やマイクを接続し、「NETDUETTO サーバー」上にある仮想的な「セッションルーム」に入室して行うことになる。オーディオデータは、サーバーを介さずに直接端末間で通信を行うことによって遅延を最小にする(音質は、CD並みとされる44.1kHzから22.05kHz、11.025kHzの3つのサンプリング周波数から選択可能)。
また、バッファ制御を行うことで「ネットワークの揺らぎ」によるパケット到着時間の不一致を補正し、通信安定性を確保。「音楽的に破綻しないような工夫」(同社)が施されているという。
現在は試作段階のため、クライアントソフトウェアがWindows、Mac OS X上で動作するようになっているが、「NETDUETTO」のコアとなるソフトウェアコンポーネントはプラットフォーム非依存となっているため、ゲーム機用のソフトウェアやオーディオ機器など組み込み機器への応用も可能。
同社は一般向けトライアルを経て同技術の製品化を目指し、ライブや音楽イベントでの活用を提案する。また自社内での展開のみならず、SNS提供事業者やISPなどとの協業も図るとしている。