ロームは10月4日、SiCを用いたトレンチMOSFETを搭載した600V/450Aのモジュールおよび、同じくSiCを用いたSBD(ショットキーバリアダイオード)を搭載した600V/450Aのダイオードモジュールのモータへの内蔵および駆動に成功したことを発表した。
今回、同社が開発した同モジュールは独自の低オン抵抗SiCトレンチMOSFETとSiC-SBDを採用することで、従来のSiを用いたモジュールと比べ、体積比で約半分となる小型化と高温環境での動作を実現した結果、200℃の環境下での動作も可能となり、モータへの内蔵も可能となった。
また、モジュールの小型化で電力密度が上り、素子の温度が上昇する問題を抑制するため、素子の裏面だけでなく表面からも放熱できる構造になっている。
このため、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)などで電子デバイスを直接モータ内に搭載し、ダイレクトでモータ駆動を行うことができるようになり、従来発生していたギアや駆動軸での損失を抑えることが可能となる。
なお、同社では今回のモータ搭載により、スイッチング特性だけでなく、高温環境下での駆動が確認できたことにより、そうした過酷な環境への適用可能性が確認できたとして、大電流を扱いパワーエレクトロニクス分野での必要な電力変換デバイスのさらなる応用展開を進めていきたいとしている。