Windows Internet Explorer 9

ブラウザを使っていてもっとも煩わしいのはダイアログが立ち上がってきたときだ。作業は中断され、その突然現れたダイアログの内容を読み、どうするか決断しなければならない。セキュリティ上必要であることはわかっていても、この突然の訪問者はあまり歓迎されるものではない。

IE9ではこのあたりのいらだちが最小限になるように工夫されている。通知バーと呼ばれる機能がそれにあたるもので、どういった設計指針で開発されたものかがUser Experiences: Quieter Notifications - IEBlogで紹介されている。ほかのブラウザも同様の通知システムを実装する可能性があり興味深い。まずIEチームはユーザに対する次の3種類へ分類したという。

  1. ブロック - ブラウジングを停止して強制的にユーザに判断を求めるタイプ。詐欺サイトを検出した場合などに使われる。
  2. 提案 - パスワードを保存を求める場合など、ブラウジングを止める必要はないが、ユーザにアクションを促す場合に使われる。
  3. 報告 - 何が実施されたのかを報告するだけのもの。たとえば履歴の削除が完了しました、といった報告をするなど。

この3種類を念頭においてIE8のブロックダイアログを検討したところ、多くは削除可能で、いくつかは提案や報告などに置き換えが可能なことがわかったという。最終的に23のブロックダイアログが削除され、いくつかは提案や報告へ置き換えが実施されたという。つまり、IE9はそもそもIE8よりもブロックダイアログに煩わされるシーンが少ないということになる。

ブロックダイアログは従来どおり表示されるが、提案と報告はブラウザの下にポップアップする「通知バー」に表示される仕組みになっている。通知バーの特徴は次のとおり。

  • ブラウザの下にポップアップスタイルで表示される。アクションセンターと似たUIを採用している。IE9はデフォルトでポップアップダイアログをブロックするため、この通知バーがWebページによって生成されたものではなくIE9が表示しているものであることがわかりやすい。
  • 提案と報告はすべて優先順位が設定されており、もっとも優先順位の高いものだけが表示される仕組みになっている。同時に複数の提案や報告が通知バーに表示されることはない。
  • 閲覧しているコンテンツのレイアウトには影響を与えない。たとえはChromeではブラウザの上部にパスワードを保存するかどうかの表示をするため表示内容が下方向へずれていくが、IE9ではレイアウトはそのままで影響を与えない。

通知バーに表示された提案メッセージ例

通知バーに表示された提案メッセージ例

通知バーはブラウジングに集中できるデザインになっているが、完全に気がつかないというものでもなく、何度か表示されたあとには、そこに表示されていることに気がつくようになる。パスワードを保存するかどうか、すべてのコンテンツを表示するかどうか、ダウンロードの進捗状況の表示など、すべてがこの通知バーを経由して提供される。