Windows Internet Explorer 9

ブラウザ開発でもっともユーザや開発者の目を引くコンテンツのひとつがベンチマークだ。ユーザはできるだけ軽量でサクサクと軽快に動くブラウザを使いたいと考えている。そうした指針になるものがベンチマークであり、実際にブラウザの性能を計測する多種多様なベンチマークが存在している。

JavaScriptを活用したWebアプリケーションやWebサービス、Webページが増えていることから、JavaScriptのベンチマークはこうしたベンチマークの中でも注目されやすい。最近ではこれにレンダリング性能を計測するベンチマークが加わってきている。Performance: What Common Benchmarks Measure - IEBlogにおいて代表的なブラウザベンチマークと、そのベンチマークが何を計測するものかがわかりやすくまとめられており参考になる。紹介されているベンチマークは次のとおり。

  • Celtic Kane - 2006年に登場した、おそらく最初のもっとも有名なJavaScriptベンチマーク。8つのシンプルなテストケースでJavaScriptのコア性能をチェックする。
  • WebKit SunSpider - Apple Webkitチームが開発しているJavaScriptベンチマーク。26のテストケースで性能を調査する。利用しているAPIはJavaScript APIの10%未満。同じ処理を数千回繰り返すといったタイプのベンチマークで、実際の利用シナリオに近いものとは言いがたい。
  • Google V8 - Googleが開発しているJavaScriptベンチマーク。OSスレッドスケジューリング、暗号処理、レイトレーシングなど計算的に複雑なシナリオが計測できるという特徴がある。学術的に興味深いアプローチが採用されているが、実際に使われているシナリオに近いとは言いがたい。
  • Mozilla Dromaeo - 現存する中ではもっとも優れたJavaScript / DOMベンチマークのひとつ。jQueryの開発者であるJohn Resig氏が開発したベンチマークで、APIのパフォーマンスを計測する。
  • Flying Images - MicrosoftがIE9 PP向けに用意したベンチマークのひとつ。ハードウェアアクセラレーショングラフィック性能を計測する。
  • FishIE Tank - MicrosoftがIE9 PP向けに用意したベンチマークのひとつ。HTML5 Canvasレンダリング性能を計測する。
  • Psychedelic Browsing - MicrosoftがIE9 PP向けに用意したベンチマークのひとつ。HTML5 Canvasレンダリング性能を計測する。

それぞれのベンチマークが対象としているサブシステムは次のとおり。Performance: What Common Benchmarks Measureより抜粋。

Celtic Kaneベンチマークの対象とするサブシステム - Performance: What Common Benchmarks Measure - IEBlogより抜粋

WebKit SunSpiderベンチマークの対象とするサブシステム - Performance: What Common Benchmarks Measure - IEBlogより抜粋

Google V8ベンチマークの対象とするサブシステム - Performance: What Common Benchmarks Measure - IEBlogより抜粋

Mozilla Dromaeoベンチマークの対象とするサブシステム - Performance: What Common Benchmarks Measure - IEBlogより抜粋

Flying Images/FishIE Tankベンチマークの対象とするサブシステム - Performance: What Common Benchmarks Measure - IEBlogより抜粋

Psychedelic Browsingベンチマークの対象とするサブシステム - Performance: What Common Benchmarks Measure - IEBlogより抜粋

Mozilla Labsは最近、Krakenと呼ばれるプロジェクトを発表した。実際のWebアプリケーションに近いJavaScriptベンチマークを実現するという取り組みで、今後の開発とブラウザ開発者の評価によっては、ブラウザベンチマークとして代表的なものになっていく可能性がある。