富士経済は9月21日、「2010 ワールドワイド スマートグリッド構築実態調査」の結果を発表した。同調査では2010年の世界のスマートグリッド市場について、2009年比で約6倍の5兆8170億円になると予測されている。
この調査は、米国の「グリーンニューディール政策」の目玉の1つとして注目されるスマートグリッドについて、世界各国や各地域における取り組み状況を把握する目的で実施されたもの。
同調査では、スマートメーター/AMI(advanced meter infrastructure)、通信ネットワーク、ディマンドレスポンス、ホームエネルギーマネジメントシステム、エネルギー貯蔵システム、ビーグルツーグリッド、コンサルティング/プロジェクトマネジメント、システムインテグレーション、配電自動化/系統保護、高圧送電、専用ネットワーク機器などの分野を「スマートグリッド関連市場」と位置付けている。
それによると、同市場の2009年の規模は9405億円。2010年は1兆2897億円になると見込まれており、2010年には2009年比で618.5%増の5兆8170億円に達する見込み。
同市場における「主要市場」とされているのは、双方向通信機能を備えた「スマートメータ/AMI」と、電力消費量をスマートメーターなどを通じて削減する仕組みを示す「ディマンドレスポンス」の分野。
2020年の「スマートメータ/AMI」の市場は1兆3000億円(2009年比321.8%)、「ディマンドレスポンス」の市場は3900億円(同1020.9%)になると予測されている。
同社は、「スマートメータ/AMI関連の先進諸国を中心とした需要は、2010年代前半にピークを迎え、その後、成長の中心は新興国やその他世界各地へと移る」とし、その後は新興国や世界各地に成長の軸足が移行すると分析。国内でも住宅メーカーやマンションディベロッパーが注力する「ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)」については、「利用そのものは増えるが、ウェブポータルや種々の携帯端末等での無償利用が主流になると予想され、それ自体の市場成長は見込み難い」と指摘している。
日本では、2010年度から経済産業省が中心となって「次世代エネルギー・社会システム実証事業」が開始され、5年総額で1000億円規模の予算が投じられることになっている。このような背景をもとに同社は2010~2011年は「『日本型』スマートグリッド像の確立がテーマになる」とし、現時点では「蓄電池の有効活用」が実現性が高いと指摘。今後は「電力会社が投資するのか、政府が補助金を出すのか、といった議論が進む」という考えを示している。