The YUI teamは7日(米国時間)、Yahoo UI(以下、YUIと表記)の最新版となるYUI 3.2.0をリリースした。YUIはJavaScriptフレームワークのひとつで、The BSD Licenseのもとで公開されている。豊富なユーティリティと強力なウィジェットが特徴。またリファレンス/各種デモが充実しており、提供されている機能のほとんどがWeb上で試すことが可能だ。
YUI 3.2.0で追加された新機能はおもに次のとおり。
- SimpleYUIの追加
- Core: touchイベント、ジェスチャモジュールの追加
- Utilities: アニメーション効果「Transition」、ファイルアップローダ「Uploader」、履歴管理「History Utility」、JSONユーティリティ「JSONP」、SQLライクのクエリでデータ通信をおこなう「YQL Query」の追加。YUI 3.0で追加されたBrowser History Managerが非推奨に
- CSS: CSS Gridsの追加
- Widgets: iPhone/AndroidのようなタッチデバイスのスクロールUIを実現する「ScrollView」、高機能エディタ「Rich Text Editor」の追加
今回追加されたユーティリティ、ウィジェット、CSSライブラリのほとんどがベータ版という扱いであることに注意されたい。
更新点での目玉は、iPhoneやAndroidといったタッチデバイス向けの機能が強化されている点だろう。これまで高機能モバイル端末向けに特化したJavaScriptライブラリとしてはjQTouch/Sencha TouchやbaseJSなどがあった。
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YUI 3.2.0ではタッチイベント(touchstart、touchmove、touchend、touchcancel)、ジェスチャイベント(flick, gesturemovestart, gesturemove, gesturemoveend)などといったスマートフォン向けのイベントが大幅に追加された。これらが追加されたことにより、Drag & DropユーティリティやSliderウィジェットがiPhone/iPad上で動作するように。Yahoo!内のモバイルエンジニアリングチームとの協同で開発された、Apple iOSアプリケーションのようなスクロールUIを実現するScrollViewウィジェットも興味深い。スマートフォン向けWebアプリの開発時、YUI 3.2.0はあたらしい選択肢となるか。
本稿ではYUI 3.2.0のなかでも、あたらしく追加されたタッチ/ジェスチャイベントに焦点をあてて紹介する。