エプソンは16日、プロジェクター新製品の発表会を開催し、ビジネス向けの「オフィリオプロジェクター」シリーズにはモバイルモデル4機種、スタンダードモデル3機種、明るい常設モデル3機種の計10機種を発表した。10月中旬より順次発売開始となる。またオプションとして、A3サイズまでの対象をカメラから投映できる実物投映機1機種も発表。
同時に、ホームシアター向けプロジェクター「ドリーミオ」シリーズに3機種の新製品を発表している。
「新商品全体で、年間78,000台が目標」
発表会では、まずエプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏が、全体的な概要について説明。ビジネス商品全般を対象としてスタートする新規有償保守パック「引取保守パック」について、「サポートにおいてもユーザーの選択の幅を広げようというもの」と述べた。
次に、セイコーエプソン 映像機器事業部 副事業部長の森山佳行氏が市場動向と新製品の特徴や機能を解説。市場動向については、ワールドワイドの市場規模について、08~09年度は縮小も予測していたとしながら、教育機関などへの浸透により09年度で6%の成長となったとし、中国を中心としたアジア諸国の市場拡大などにより、10年度以降についても年率10%の成長を予測していると述べた。エプソンのシェアについては、全世界で23.5%、日本においては45.2%という現在の数字を示した。
最後に、エプソン販売 MD部(LCP)部長の久保厚氏が販売戦略について説明。ユーザーが求める「明るさ」「コスト」「サイズ」をエプソン製品が備えていることを広告で、また解像度よりも「ワイド」であることがビジネスユーザビリティにとって重要だということをホームページにてプロモーションしていきたいとした。また、新たな有償保守サービスを導入するに至った背景についても説明。最後に同時発表のホームシアター製品も含めた今回の新製品全体の販売目標として、78,000台という数字を挙げた。
質疑応答においては、すでにプロジェクター市場で大きなシェアを得ている現状を踏まえて市場シェアについてどのように考えるかという質問に対し、中野氏が「昨年下期と同様、50%以上のシェアを目指していきたい。昨年度の市場規模が約18万8千台、その50%ということで9万4千台プラスアルファ、できれば10万台」という数字を挙げた。
モバイルモデル
モバイルモデルの4機種は、3LCD方式のプロジェクターとしては世界最薄となる44mmのコンパクト化を実現。3,000lmまたは2,600lmと明るく、短焦点レンズやタテ・ヨコ補正機能の搭載により、限られたスペースでも大きな画面に見やすく投写できる。PCとの接続はUSBケーブル1本でOK。また上位3モデルではHDMI端子を装備している。
4機種の違いは、「EB-1775W」がWXGA(1,280×800ドット)対応/明るさ3,000lm/電動フォーカスの最上位モデルとなる。フォーカスが手動になるのが「EB-1770W」。さらに明るさが2,600lmになったものが「EB-1760W」。そしてXGA(1,024×768ドット)対応でHDMI端子を装備しないのが「EB-1750」となる。また、「EB-1775W」のみ、ボタンを押すだけでスクリーンの大きさに合った最適な画面にセッティングする「かんたんセットアップ」機能を搭載する。
共通の仕様は、コントラスト比が2,000:1、レンズ焦点距離がf13.52~16.22mm、サイズ・重量がW292×D210×H44mm(突起部を除く)、約1.7kg。映像入力はD-Sub、RCA、HDMI(「EB-1750」を除く)。USBストレージ接続用のポートを装備し、1Wのスピーカーを内蔵している。
価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は「EB-1775W」が17万円台後半、「EB-1770W」が15万円台後半、「EB-1760W」が12万円台後半、「EB-1750」9万円台後半。10月下旬の発売を予定している。
機種 | EB-1775W | EB-1770W | EB-1760W | EB-1750 |
---|---|---|---|---|
解像度 | WXGA(1,280×800ドット) | XGA(1,024×768ドット) | ||
明るさ | 3,000lm | 2,600lm | ||
フォーカス | 自動 | 手動 | ||
HDMI端子 | ○ | × | ||
かんたんセットアップ | ○ | × | ||
店頭予想価格 | 17万円台後半 | 15万円台後半 | 12万円台後半 | 9万円台後半 |
スタンダードモデル
スタンダードモデルの3機種は、明るさを従来機種の2,500lmから2,600lmに向上。PCとの接続をUSBケーブル1本で手早く行える「USBディスプレイ」、本体の傾きを検知して台形に歪む画面を補正できる「タテ自動台形歪み補正機能」、使用後のクールダウンが不要で後片付けに時間がかからない「ダイレクトシャットダウン」など、使いやすさを追求した機能が充実している。
3機種の違いは、解像度とレンズまわり、HDMI端子の有無など。解像度は「EB-W10」がWXGA(1,280×800ドット)対応、「EB-X10」がXGA(1,024×768ドット)対応、「EB-S10」がSVGA(800×600ドット)対応となる。レンズは、「EB-W10」「EB-X10」が明るさF1.6~1.7、焦点距離f17~20mm、手動ズームなのに対し、「EB-S10」ではF1.44、f16.6mm、デジタルズームとなる。また音声端子が「EB-W10」「EB-X10」はRCA入力のみなのに対して「EB-S10」ではステレオミニの音声入力/出力端子を備える。
共通の仕様は、明るさが2,600lm、コントラスト比が2,000:1、サイズ・重量がW295×D228×H77mm(突起部を除く)、約2.3kg。映像入力はD-Sub、RCA、HDMI(「EB-S10」を除く)。USBストレージ接続用のポートを装備し、1Wのスピーカーを内蔵している。
価格はいずれもオープンプライス。店頭予想価格は、「EB-W10」が8万円台後半、「EB-X10」が7万円台後半、「EB-S10」が4万円台後半。発売予定は10月中旬。
機種 | EB-W10 | EB-X10 | EB-S10 |
---|---|---|---|
解像度 | WXGA(1,280×800ドット) | XGA(1,024×768ドット) | SVGA(800×600ドット) |
レンズ明るさ | F1.6~1.7 | F1.44 | |
レンズ焦点距離 | f17~20mm | f16.6mm | |
ズーム | 手動 | デジタル | |
HDMI端子 | ○ | × | |
音声端子 | RCA入力 | ステレオミニ入力/出力 | |
店頭予想価格 | 8万円台後半 | 7万円台後半 | 4万円台後半 |
常設モデル
天井などへ常設して大きなスクリーンに投映する常設モデルは3機種。高輝度とエプソン独自の高画質技術「C2FINE」による高コントラストを達成。さらに、レントゲン写真などの医療のイメージを確認するための階調表現が可能な「DICOM SIMモード」などのカラーモードを搭載。このほか、4種類のオプションレンズを用意して幅広い環境への設置を可能にしている。
3機種の違いは、解像度・明るさ・コントラスト比など。解像度は、「EB-G5950」「EB-G5600」がXGA(1,024×768ドット)対応、「EB-G5650W」がWXGA(1,280×800ドット)対応。明るさは、「EB-G5950」が5,200lm、「EB-G5650W」「EB-G5600」が4,500lm。コントラスト比は、「EB-G5950」「EB-G5650W」が2,000:1、「EB-G5600」が1,000:1。また、「EB-G5600」のみUSBストレージ接続用のポートを装備していない。
共通の仕様は、レンズ焦点距離が21.28~37.94mm、ズーム/フォーカス共に手動。サイズはW470×D312×H135mm、重量は「EB-G5950」「EB-G5650W」が約6.8kg、「EB-G5600」が約6.7kg。映像入力はD-Sub×2、5BNC、RCA、1BNC、S端子、HDMI。7Wのスピーカーを内蔵している。
価格はすべてオープンプライス。店頭予想価格は、「EB-G5950」が53万円前後、「EB-G5650W」が53万円前後、「EB-G5600」が41万円前後。11月下旬発売予定。
機種 | EB-G5950 | EB-G5600 | EB-G5650W |
---|---|---|---|
解像度 | XGA(1,024×768ドット) | WXGA(1,280×800ドット) | XGA(1,024×768ドット) |
明るさ | 5200lm | 4,500lm | |
コントラスト比 | 2,000:1 | 1,000:1 | |
USBストレージ接続 | ○ | × | |
店頭予想価格 | 53万円前後 | 53万円前後 | 41万円前後 |
書画カメラ(実物投映機)
オプションの書画カメラ(実物投映機)「ELPD11」は、500万画素CMOSカメラにより、書類などの平面物、立体物などを色調・質感も鮮明に投映することができる。撮像は最大A3サイズまで対応。10倍デジタルズームとアーム可動による3倍相当のズームで、資料を鮮明に拡大することができる。有効画素数は2,592×1,944ドットで、出力端子はVGA、USB(PC経由の接続のみ)、RCA。サイズ・重量は、W270×D326×H437mm(セットアップ時)、約2.2kg。価格はオープンで、店頭予想価格は6万円台後半。10月中旬の発売を予定。