単独BIベンダの米QlikTechの日本法人「クリックテック・ジャパン」が9月14日、設立された。QlikTechは1993年、スウェーデン・ルンドにルンドに設立され、BI製品「QlikView」を軸にエンタープライズ事業を世界100カ国以上で展開、1万5,000社以上の顧客をもつ。現在、本社は米国ペンシルバニア州ラドナーに置かれており、今年7月にはNASDAQ上場を果たしている。QlikTechのエグゼクティブ バイスプレジデント兼グローバル営業統括責任者 レス・ボニー氏は「QlikViewは競合他社のBI製品とはまったく違う、ユーザドリブンなBI製品。ビジネスユーザが使いやすいようにシンプリシティをきわめている。すでに日本でも多くの顧客に使ってもらっているが、さらに多くのユーザを獲得すべく、今後はパートナー戦略を強化していきたい」と語る。
QlikTechはこれまで4社のパートナー企業を通して日本市場でもQlikViewの販売を行ってきており、NTTデータ、クレディセゾン、さくら情報システムなど約120社の顧客を国内にもつ。今回の日本法人設立にあたり、代表取締役に就任した垣田正昭氏は「QlickViewは他のBI製品と異なり、勘定系システムの開発手法を情報系システムにそのまま当てはめるようなことはしない。情報系は政治体制や為替相場など外部要因の変化に大きく左右され、計画を事前に定義することは不可能。であれば情報系システムの導入手法そのものを変えてやり、定義作業からユーザを解放すべき。QlikViewはExcelと同じ要領でビジネスユーザが開発でき、しかもExcelにはない高い分析能力をもつ。競合BI製品だけでなく、スクラッチ開発のソフトでも、同じような柔軟性を実現することは難しいはず」と自信を見せる。
ビジネスユーザにも理解しやすい直感的なインタフェースともうひとつ、QlickViewの最大の特徴は"連想技術"を用いたインメモリによる大量データへの対応力だ。事前集計のためのデータマートやOLAPキューブの作成を必要とせず、数十億件を超える明細データから、リアルタイムで計算/表示させることが可能だという。扱えるデータソースも複数にわたり、簡単に統合できる点も、ユーザからの評価が高い。「これにより、既存のBI製品に比べてはるかに短期間で高い経営効果を出すことが可能になる」(垣田氏)
ボニー氏は「いまIT業界で主流にいるGoogle、Apple、Salesforce.comなどに共通する点は、シンプルであることだ。エンタープライズ製品はとかくなんでも複雑になりがちだが、そもそもサービスはIT部門ではなくエンドユーザに届けられるべきもの。複雑であっては使われないシステムになってしまう。QlikTechは、エンタープライズにおけるGoogleのような立場を目指したい」と意気込みを語る。「ユーザ主導、プル型、シンプル、そして即効果 - これがQlikViewの強みだ」(ボニー氏)
今後、クリックテック・ジャパンは社員の増員を図り(現在9名)、まずはパートナー戦略に力を入れ、現在4社のパートナー(アシスト、日立INSソフトウェア、CSKシステムズ、電通国際情報サービス)の数を1年以内に倍増させたい考えだ。この1年でOracle、SAP、IBMなど強力な競合に対抗して、どこまで社名/製品名の知名度を上げることができるかが、同社の成功のカギとなる。