米Freescale Semiconductorの日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは9月14日、同社のプライベートショー「Freescale Technology Forum Japan 2010(FTF Japan 2010)」を開催。併せて、組み込みSVC(Scalable Video Coding:スケーラブル映像符号化方式)ソフトウェアソリューション「H.264/SVC」を発表した。

また、同ソリューションの補完として、同社の「StarCore(スターコア)」をベースとしたマルチコアDSP「MSC825x」上で動作する30種類以上の映像/音声コーデックがオプションで提供される。

FreescaleのマルチコアDSPロードマップ。「MSC825x」では最大6コアまで対応している

同DSPとソフトウェアを組み合わせることで、フルHDのH.264および同社およびパートナー各社より提供されるH.264/SVC、H.264BP、MPEG-2/4、G.729、AACなどの画像、動画、音声コーデックを、従来のような汎用サーバ上ではなく組み込みプロセッサ上でを実行することが可能になる。

このためシステム開発メーカーは、テレビ会議システムやメディア・ゲートウェイ、IPTV配信システムなどの高品質なIPビデオ・アプリケーションに向けて、不安定なネットワーク環境においても、マルチレイヤ・ビデオ・ストリームの送受信が可能になり、パケット・ロスを克服することが可能となるため、それぞれのシステムに搭載したデコーダが解像度、フレーム・レートと画質をシステムとして最適なものを選択することができ、従来起きていたような、音声の途切れや一時停止状態、ぎくしゃくしたフレーム、遅延、不鮮明な動き、画像の乱れなどを解消することが可能となる。

また、同ソフトは5つの時間レイヤ(フレームレート)、3つの空間レイヤ(解像度)および3つの品質レイヤ(画像品質)の拡張性をサポートしているほか、ソース・コードでも提供することができるため、カスタマはそれぞれの要求に応じたカスタマイズが可能となっている。

SVCの概念。エンコード側は1つで、各機器に応じてフレームレートを分けて、それを各機器のデコーダが相応の解像度などにデコードして放送することが可能となる

さらに、同ソフトは、ピン互換性の1コア、2コア、4コアおよび6コア用DSP向けに用意されており、マルチコアのDSPと組み合わせることで、ビデオの解像度に応じて、コアの使用方法を変えるマルチプラットフォームとして活用することも可能となっている。

マルチコアを用いることで、各コアを細かく制御して、エンコード/デコードを行うことができるほか、トラフィックに応じて複数のコアに1つの作業を行わせるといった柔軟な対応が可能となる

なお、H.264/SVCのエンコーダおよびデコーダの評価バージョンは同社Webサイトよりダウンロードが可能で、デモプラットフォーム上で確認することが可能だ。