富士フイルムは、フィルムによる3D映画上映システムの日本国内での普及を進めるため、同システムに必要な専用レンズの提供を開始した。同システムでは、既存のフィルム映写機をそのまま利用して低コストで劇場にて3D映画の上映が可能となる。
デジタル上映システムは、デジタルプロジェクターやサーバなどに加えて3D専用の付属設備が必要なため、現在全国の約3400スクリーン中デジタル3D上映に対応しているのは約15%(同社調べ)と、初期投資・トータルコストの高さから導入できない劇場も多い。
このたび同社が提供を開始するシステムは、既存のフィルム映写機をそのまま利用して3D映画が上映できる、米テクニカラー社が開発した「Technicolor 3D」システム。Technicolor 3Dシステムによる3D映画の上映は今春から欧米で開始され、年内に約700スクリーンを目標に導入が進められている。
Technicolor 3Dシステムは、上映用フィルムの1コマを上下に分け、それぞれに左目用・右目用の画像を記録させて、映写機に装着した専用レンズ(3Dスプリットレンズ)をとおして3D映像を映写するシステム。
同社は、劇場向け映写設備の販売・保守サービス会社を通じて、フィルム映写機に装着する専用レンズのレンタルおよび設置を行い、日本国内において本システムの普及を進めていくことを発表。
なお、日本におけるTechnicolor 3Dシステムでの上映は、東急レクリエーションおよびユナイテッド・シネマが運営する劇場において、2010年11月以降本システムによる3D映画配給を表明している米映画制作・配給会社の作品から順次開始される予定とのこと。