9月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2010年8月の全国企業倒産の集計結果が発表された。同月の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では964件/1,692億3,300万円、商工リサーチの発表では1,064件/1,889億2,000万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2010年8月の全国企業倒産の件数は、前年同月(1,042件)比で7.5%の減少となり、12ヵ月連続で前年同月を下回った。しかし、前月(918件)比では5.0%の増加となったうえ、前年同月比の減少率は2010年3月(▲5.6%)以来、5ヵ月ぶりに1ケタにとどまった。
2010年8月の全国企業の負債総額は、前月(2,493億5,700万円)比は32.1%、前年同月(2,753億4,400万円)比で38.5%と大幅減少となった。この結果、7ヵ月連続で前年同月を下回り、集計基準変更後で初の2,000億円割れとなった。負債100億円以上の大型倒産は0件で、2005年4月の集計基準変更後で初めて発生しなかった。
全国企業倒産件数・負債総額の推移 資料:帝国データバンク |
業種別では、5業種で前年同月を下回った。なかでも、小売業(133件、前年同月比31.4%マイナス、61件減)、不動産業(26件、同21.2%マイナス、7件減)、運輸・通信業(34件、同19.0%マイナス、8件減)など内需型の減少が目立った。一方、建設業(293件、同3.2%プラス、9件増)が5ヵ月ぶりに、サービス業(187件、同6.3%プラス、11件増)が6ヵ月ぶりに増加に転じた。
地域別では、9地域中5地域で前年同月を下回った。なかでも、近畿(256件、前年同月比16.1%マイナス、49件減)は50件に迫る減少となったほか、東北(41件、同19.6%マイナス、10件減)でも減少が目立った。一方、中部(123件、同12.8%プラス)など4地域では前年同月比増加となり、中国(36件、同2.9%プラス)は1年6ヵ月ぶりに前年同月を上回った。
商工リサーチの調査結果
2010年8月の倒産件数は、前月(1,066件)比で0.1%の減少となったが、前年同月(1,241件)比では14.2%の減少と、13ヵ月連続で前年同月を下回った。この結果、連続減少期間としては過去5番目の長さとなった。8月としては2004年(1,097件)以来6年ぶりに1,100件を下回った。
2010年8月の負債総額は、前月(2,753億3,300万円)比で31.3%減少、前年同月(2,842億1,300万円)比では33.5%の減少となり、7ヵ月連続で前年同月を下回り、1990年10月(1,501億2,600万円)以来19年10ヵ月ぶりに月次2,000億円を割り込んだ。特筆すべき点としては、負債100億円以上の倒産がバブル景気時の1990年9月以来発生しなかったことが挙げられている。
産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、9産業で前年同月に対して減少した。増加したのは、情報通信業2.1%増(46件→47件)のみだった。
減少率は、上から小売業の37.9%減(158件→98件)、不動産業34.7%減(46件→30件)、製造業23.1%減(199件→153件)、運輸業17.6%減(51件→42件)、農・林・漁・鉱業14.2%減(7件→6件)、金融・保険業12.5%減(8件→7件)、サービス業他9.1%減(241件→219件)、建設業6.2%減(334件→313件)、卸売業1.3%減(151件→149件)となった。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区すべてで前年同月比を下回った。