米VMwareは米国サンフランシスコで開催中の「VMwrold 2010」において、仮想デスクトップ製品の新版「VMware View 4.5」、およびアプリケーション仮想化製品の新版「VMware ThinApp 4.6」を発表した。

以下、両製品の特徴について、VMworld 2010の講演や展示の内容を基に簡単にお伝えしよう。

開発中のiPad向け環境も紹介 - VMware View

VMware Viewは、同社が提供する仮想デスクトップ製品である。プロトコルにPCoIPを使用しており、低帯域のネットワーク環境でも高いパフォーマンスを維持できるほか、リッチメディアコンテンツの再生や複数モニタの環境にも対応するといった特徴がある。VMwrold 2010の会場では、通常のPCだけでなく、Wyseらが提供するシンクライアント端末や、Samsungが販売するモニタ一体型の"ゼロクライアント端末"なども展示されていた。

Samsungが販売するモニタ一体型の"ゼロクライアント端末"。VMware ViewでWindowsを動作させているが、VDI専用端末のため、VMware View自体のメニューは表示されていない

VMware View 4.5の最大の特徴は、ローカルモードが公式に利用可能になったこと。オフライン環境でもデスクトップを操作でき、操作結果はオンラインになったと同時にサーバに通知される。そのほか、Windows 7およびMacのサポートなども主な強化ポイントとして挙げられている。

同社のCTOを務めるSteve Herrod氏は、講演の中で、Maritz氏の講演を受けて「これから迎える仮想化の第3ステージでは、"価値の創造"という点に目が向けられ、オペレーションを改善するようなビジネス・エクスペリエンスの変革が起きていくだろう」と説明。それを具現化するコンセプトとして「User-centric IT」を紹介し、従来の「PC-centric IT」とは異なり、場所やデバイスに制限されることなく柔軟に利用でき、管理もポリシーベースで一元的に行える環境ができあがると強調。その代表的な技術というかたちでVMware Viewが取り上げられた。

デバイス等に拘束されない「User-centric IT」

なお、VMware Viewに関しては現在、iPad向けの専用インタフェースも開発中だ。Windowsのデスクトップをスムーズに操作できるよう、右クリックも使用できるインタフェースが用意される予定だ。

現在開発中のiPad向けVDIクライアント「VMware View Client iPad Edition」。画面中央の下部にマウスを模したアイコンが表示されており、右クリックもできる

Windows 7でIE 6が動かせる! - ThinApp

一方のThinAppは、OSとアプリケーションの関係を切り離すためのソフトウェアだ。同ソフトウェアの上で稼動するアプリケーションは、実際はUSBメモリやサーバから実行されているにもかかわらず、あたかもOSの上にインストールされているかのような感覚で利用できる。

仮想デスクトップ環境と組み合わせることで管理の効率化をより促進することができる。例えば、部署ごとに共通の標準イメージを用意したうえで、ユーザーごとに異なるアプリケーションのみThinAppで管理するといった方法をとることで、イメージを汚すことなく運用できる。

ThinApp 4.6では、VMware Viewの管理ツールが利用できるようになったほか、IE 6を完全サポートするなどの機能強化が加えられている。IE 6をサポートしたことで、Windows 7の上で仮想的にIE 6を起動できるようになり、IE 6向けに最適化されてしまっているレガシーなWebアプリケーションも問題なく動作させられるようになっている。