10月5日より、東京国立近代美術館フィルムセンターにて、映画監督・吉田喜重氏の長・短編の記録映画を含めた計43本を上映する企画「映画監督五十年 吉田喜重」が行われる。

『エロス+虐殺』(1970年)より

吉田喜重監督は、いまからちょうど50年前の1960年7月に公開されたデビュー作『ろくでなし』で一躍"松竹ヌーヴェル・ヴァーグの旗手"として注目を集め、『秋津温泉』(1962年)、『嵐を呼ぶ十八人』(1963年)などの作品で企業映画の定型を破る。

1964年に『日本脱出』の一部がカットされたのを機に松竹を退社、「現代映画社」を中心とする独立プロに活動の場を移してからは、性と政治、日本の近代化がはらむ矛盾を鋭く追及する一方、独自のスタイルを確立しながら、日本映画の前衛を牽引していく。

『エロス+虐殺』(1970年)のフランス公開後は国際的な評価も高まり、さらに『戒厳令』(1973年)の発表後はテレビ・シリーズ「美の美」(1974-1977年)や『BIG1物語 王貞治』(1977年)などドキュメンタリーとの間を往還しながら、作家と映画表現の関係を問い続けてきた。

2003年には13年振りの劇映画となる『鏡の女たち』を発表。2008年にはパリのポンピドゥ・センターでも大規模な回顧上映が開かれるなど、その作品世界に新たな注目が集まっている。

同企画上映では、劇映画全19作に、長・短篇の記録映画を加えた計43本(24プログラム)の上映を通して、映画監督・吉田喜重50年の足跡を回顧する。

上映作品やスケジュール等の詳細はこちらより。

「映画監督五十年 吉田喜重」

会場 東京国立近代美術館フィルムセンター大ホール
会期 10月5日(火)から10月31日(日)
開場 10時から17時
休館 月曜
入場料 一般500円、高校・大学生・シニア300円、小・中学生100円/