欧州委員会(EC)は9月7日(ベルギー時間)、デジタルデータ保存/アクセスに関する技術プロジェクト「CASPAR(Cultural, Artistic and Scientific knowledge for Preservation, Access and Retrieval)」の成果として、オープンソース(GNU LGPLライセンス)のソフトウェアツールを公開した。
CASPARはデジタルデータの保存とアクセスという課題に取り組む予算総額1,500万ユーロのプロジェクト。チェコ、フランス、ギリシャ、イスラエル、イタリア、英国の研究機関が国際連合教育科学文化機関(UNESCO)などとも協力しながら進めている。EUは第6次研究開発フレームワーク(FP6)の一部として、同プロジェクトに880万ユーロの資金を提供している。
今回公開されたツールは、デジタルデータの長期保存のためのISO標準であるOAIS(Open Archival Information System)参照モデルを実装し、セマンティックWeb技術と分散型・非同期型の疎結合アーキテクチャを採用している。また、技術中立性やドメイン中立性を特徴としているためさまざまな技術上に保存環境を実装できるほか、情報の一貫性やアイデンティティを保証すると同時にデジタル権利、認証などの機能も持つ。
昨今、デジタルデータは急激に増加している一方で、技術の変遷とともに将来にわたってアクセスできるかどうかという課題も持ち上がっている。CASPARは現在および将来の標準を土台とする学術的・文化的なデジタル情報の保存サイクルをエンドツーエンドで支援するフレームワークの構築を目指すほか、EUのデジタル図書館プロジェクト「Europeana」を補完する位置付けもある。