ディーバは9月2日、企業グループ全体でIFRS(国際財務報告基準)対応を早期にかつ高いROI(Return On Investment:投下資本利益率)で実現できるグループ統合元帳ソリューション「DivaSystem GEXSUS(ディーバシステム ジェクサス)」を開発、2010年12月より提供を開始することを発表した。
「2015年にはIFRSの強制適用が予定されているが、IFRSの導入に向けた動きは企業ごとに大きな差が生じている」(ディーバ 代表取締役社長の森川徹治氏)ということで、同社ではIFRSの対象となる企業を大規模(業種上位)事業者か中堅事業者か、グローバル展開が進んでいるか、国内市場(ドメスティック)が中心かで分類、「現在、ディーバの提供する連結会計システム『DivaSystem』を採用する企業は622社。その内の約1割が、実際にIFRSへの対応に向けて動き出しているのが現状」(同)であり、それがグローバルかつ大規模な事業者に主に分類されているという。
また、グローバルかつ中堅、ならびに大規模かつドメスティックな企業の多くが2015年より前にIFRSを導入することを目指し、勉強などを開始しているが、それ以上に多くの中堅/グローバル、および中堅/ドメスティックの企業は2015年の強制適用を待つといった状態なのが2010年の現状だという。
「このように判断が分かれるのは、経営サイドとして、IFRSが役に立つかどうか不明瞭なもののため。また、導入に対するコストも躊躇する要因となっている」と同氏は説明する。特に、近年は年間70社程度が上場廃止を選択しているが、その背景として「10年前に比べて、四半期での決算開示などを行う必要が出てきたため、そうした処理や開示にかかるコストは2~3倍に増加している。経営サイドは果たしてそれが最適化されているかどうかという疑問を持ち、今よりも開示コストを考えているのに、IFRSで開示コストが上がってしまっては本末転倒になってしまう」と、開示コストの増大が利益を圧迫していることを指摘する。
また、「IFRSの導入で議論になる点の1つは、それを取り入れることで日本企業にとってプラスに作用するかどうか」(同)であり、IFRSの本来の意図と実ビジネスに差が生じている場合もあるという。
そのため同社では、親会社、異業種子会社、海外子会社などそれぞれの業務システムを「基幹系システム」、グループの統一会計システムや連結会計システムを「情報系システム」として分離、「我々は物がどこにどう動いたなどの基幹系の部分は扱わず、情報系の部分として、開示などをいかに効率よくデータとして示せるかを想定」(ディーバ ビジネスソリューション本部 事業企画担当部長の玉村健氏)し、各会社で生じる個別会計と、それらを取りまとめる連結会計の間で生じるギャップを埋める手段として「DivaSystem GEXSUS」を開発したという。
異業種や海外の子会社などは業務システムが異なり、そうした異なる業務システムごとIFRSに変えようとすると、税制が異なったり、業務内容が異なるため、柔軟性が失われる危険性などが生じるため、より開示する側に近い階層だけを統合しようというのが同社の狙い |
IFRSに求められるのは連結会計の開示ということで、子会社の会計を個々別々に積んでいくのではなく、連結する側から必要な情報を集めてくるというスタンス |
同ソリューションを活用することで、子会社や支社、工場などのデータを仕訳帳レベルで統合することが可能となるほか、会計基準の組み替えなどのグループ統合個別決算業務を、グループ各社主体で行うことが可能となる。また、総勘定元帳(General Ledger:GL)系データのみならず、グループ内のさまざまな業務システムと連携することで、データの統合が可能なため、既存業務システムの入れ替えなどを行う必要がない。
個別会計のデータはそのままに、親会社より提供されるIFRS組み換えスキームを共有することで、連結決算でのIFRSへの対応が可能となるとともに、個別会計仕訳帳のレベルまで管理することが可能となるため、監査の効率化も図ることが可能となる。
また、同一帳簿による複数会計基準への対応なども可能。基本的にGL帳は1つだが、仕訳種別に会計基準属性を持たせることで、複数会計基準の財務諸表作成が可能となる。
なお、同ソリューションの価格は、「基本的に10社以上の子会社を持つような企業に対する大規模案件が想定されており、その案件次第」(森川氏)としているが、4000万円~2億円程度がめどとしており、既存顧客(622社)の内、約1割での導入を目指すほか、新規顧客を10~20社程度獲得できればとしており、「複数のERPと連携をしていく必要があるため、コンサルティングファームやSIベンダとの協業によるビジネスを目指す」(同)としている。