2005年11月に設立されたデルのサポート拠点「宮崎カスタマーセンター」。設立5年弱ながら、その社員数は530名に及んでおり、デル日本法人の社員数が1,500人であることを考えると"一大勢力"と言える。同センターの主要業務は、「電話や電子メールによる製品・サービスのテクニカルサポート」と「電話やWebによるコンサルティング営業」だ。

テクニカルサポート業務は、デスクトップPCとノートブックPCを対象とする「Clientサポート」とサーバとストレージを対象とする「Enterpriseサポート」に分けられる。後者については川崎と分担して行っている。

小誌の読者であればここまで読んで、「デルって中国にサポートセンターを持っていなかったっけ?」と思われる方がいるかもしれない。同社は中国の大連にもサポートの拠点を構えているが、大連はコンシューマーのサポートを主に行っており、法人のサポートの大半は主に宮崎で行われているのだ。

デル 宮崎カスタマーセンター長兼スモール&ミディアムビジネスセールス本部本部長 小林治郎氏

宮崎カスタマーセンター長兼スモール&ミディアムビジネスセールス本部本部長 小林治郎氏は、同センターの最大の特徴として、60以上のグローバルのテクニカルサポート拠点の中で最も高い「顧客満足度」を達成していることを挙げた。

グローバルで行われている顧客満足度調査は第三者機関が行っており、顧客が満足度を9段階で評価するというもの。同センターの顧客満足度は90%を超えており、グローバルで90%を超えている拠点は同センターを含めて2つしかないそうだ。しかも、2008年12月に90%を達成して以来、現在まで90%を維持している。

なぜ、同センターは短期間で質の高いサポートを提供できるようになったのだろうか? デルほどの規模の企業であれば、どの拠点においても同じプログラムで教育を行っているはずだ。

デル 宮崎カスタマーセンター テクニカルサポート本部長 角昭雄氏

同センターでテクニカルサポート部門を統括するテクニカルサポート本部長を務める角昭雄氏は、「営業部門とテクニカルサポート部門が連携して顧客情報を共有することで、顧客への対応が改善されました」と話す。

一般に、サポートセンターでは営業部門とサポート部門の交流はあまりなく、当初は同センターも連携していなかった。しかし、どこの企業でもある話だと思うが、顧客がテクニカルサポート部門に注文について話した際に「その話は営業にしてほしい」と言われ対応に時間がかかったりしていた。顧客からしてみれば、テクニカルサポート部門も営業部門もデルの社員であることに変わりはない。

そこで、営業からフォローが必要な顧客のリストをテクニクカルサポートに渡したり、テクニカルサポートから問い合わせがあった顧客の情報を伝えたりといった、顧客情報を互いに共有する仕組みを整えた。今では、テクニカルサポート担当の人が顧客から購入の相談を受けたり、注文を受けたりしているそうだ。

高い顧客満足度を支える営業とテクニカルサポートの連携

こうした連携を可能にする秘訣に同センターの「活気」がある。社内では、小林氏自ら仮装する「ハロウィンパーティ」など、社内イベントが積極的に行われている。まだ同氏は「一般にコールセンターでは多くの派遣社員や契約社員の方が働いていますが、宮崎カスタマーセンターはすべて正社員として雇用しています。チームワークを高めるなど、正社員だからこそ、できていることがたくさんあると思います」と説明する。

また、同センターの社員の大半は地元の宮崎県から採用しており、「地元密着型」となっているのだ。同社は地域に根ざした企業として、地元開催のイベントに協賛したり、ボランティア活動にも多くの社員が率先して参加したりしている。

街中のショッピングセンター内と便利な場所にある宮崎カスタマーセンター。「DELL」のロゴの入った看板は日本中でここしかないそうだ

そして、小林氏は同センターの強みの1つに「宮崎の県民性」を挙げる。「宮崎では都会では難しい"仕事とプライベートのワークライフバランスの両立"が実現できます。また、デルの本社は"Southern Hospitality"というもてなしの心を持つ米国南部にありますが、宮崎も日本における南国であり、共通性を感じます」

角氏も「宮崎の人は優しく、その気質はカスタマーサポートにふさわしいと思います」と小林氏の意見に同意する。