Infineon TechnologiesとIntelは8月30日(現地時間)、IntelがInfineonの無線ソリューション事業(WLS)を約14億ドルの現金取引で取得する契約で合意に達したことを発表した。
WLSは、スマートフォンおよび低コストなエントリーレベルの電話向け無線モビリティおよび携帯電話プラットフォーム分野においてシェアを獲得しており、ベースバンド・プロセッサ、無線(RF)トランシーバ、電力管理集積チップ(IC)、追加接続機能、1チップソリューションおよび対応するシステム・ソフトウェアを提供することで、通信ネットワークのバックボーンからエンドユーザーの端末まで、円滑な音声送信や高速データ通信を提供している。同事業の年間売上高は9億1700万ユーロで、これはInfineonの2009会計年度(2008年10月~2009年9月)の売上高30億3000万ユーロの30%を占める額となっている。
IntelはWLSを独立した事業として運営する方針で、ARMベースの製品のサポートを含む、WLSの既存顧客へのサービスを継続していくとしており、「Intelの第2の柱であるインターネットへの接続性を強化し、Wi-Fi、3GからWiMAX、LTEまで広範な無線機能に対応する製品ポートフォリオを提供することが可能になる。より多くの機器がコンピュータ化しインターネットに接続する中、同買収はノートブックPC、および携帯端末、またその他すべてのコンピューティング領域における成長機会でのIntelの優位性を確実にするもの」とコメントしている。
また、売却側のInfineonは、「WLSの売却はInfineonの価値を強化するための戦略的決定で、これにより主要なセグメントであるオートモーティブ(ATV)、インダストリアル・マルチマーケット(IMM)、チップカード・セキュリティ(CCS)の成長に向けたリソースの集約が可能となった。これにより、すべてのカスタマ、従業員、株主に素晴らしい見通しをもたらす」と売却についての背景を説明している。
Intelは、モバイルおよび組み込み製品の提供を拡大し、さらに多くの顧客や、スマートフォン、タブレット、ネットブック、ノートブックPC、組み込みコンピューティング機器などの新たな市場セグメントを支援することを目標と掲げており、同買収を通じ、その中核となる強みとWLSが持つ業界最高水準のセルラー技術を連携させ、アプリケーション・プロセッサと拡張された無線製品群を統合した、低電力プラットフォームの提供を可能にすることで、IntelのWi-FiおよびWiMAXにおけるリーダーシップと、WLSの2Gおよび3Gにおけるリーダーシップ、そして4G LTEの推進への取り組みを結集するとしている。
なお、Intelの取締役会およびInfineonの監査役会と取締役会はこの買収を承認しており、規制当局の認可、ならびに合意に記述されているその他の条件に従った上で、2011年第1四半期に完了する予定となっている。