凸版印刷は8月31日、UHF帯ICタグ用のアンテナを、フレキソ印刷を用いて製品包装箱などの紙器へ直接印刷する技術を開発したことを発表した。2010年度内に技術検証を終了し、2011年4月からの量産開始を目指すとしている。

フレキソ印刷でUHF帯ICタグ用アンテナを直接印刷した紙器

これまで、紙器向けにICタグを利用する場合は、エッチングもしくはスクリーン印刷などの製法で、PETフィルムなどの表面にアンテナを形成。その上にICチップを実装した、インレットと呼ばれるパーツを製造し、別工程でラベル加工を行い、紙器へ取り付ける作業が必要であり、これらの工程におよる作業負荷の増大やコストの増加が課題となっていた。

今回、同社が開発した紙器へのソースタギング技術は、紙器を印刷する際の一般的な手法であるフレキソ印刷を用い、印刷機側の条件の最適化とインクの組成の最適化により、デザインや文字を印刷する際にUHF帯ICタグ用のアンテナを同時に形成することが可能。これにより、従来手法と比較し、加工・取り付けの手間やコストを大削減することが可能となる。

従来手法では紙器へICタグを取り付ける場合、インレットを加工し取り付けを行う必要がありましたが、今回開発した技術では、紙器へのデザイン印刷時にアンテナを形成することが可能となっている

また、紙器に印刷・形成された印刷アンテナに、印刷アンテナへの実装が容易なICチップ付ストラップ部品を装着することで、高性能なUHF帯ICタグとして使用することができるほか、印刷アンテナ用に独自設計したアンテナを用いるため、高い通信性能を実現することが可能となっている。

さらに、使用済みのICタグから銀を回収し、再利用することが可能なほか、従来のエッチングでのアンテナ製造と異なり、製造工程にて廃液が発生しないという環境配慮の技術となっている。

価格は従来のスクリーン印刷で生産された紙器向けのUHF帯ICタグアンテナに対し、30%減を目指すとしており、今後、ソースタギング技術の開発を推進していくとともに、製品包装用紙器などへの用途に向けて、技術検証をを進めていくとしている。