アルバックおよびアルバック理工は8月30日、水蒸気透過率測定装置(透湿度測定装置)として「AQ PassR(エイ キュー パサー)」を開発、2010年10月より販売を開始することを発表した。
同装置は、電子デバイス保護膜(バリアフイルム)、食品包装フィルム、飲料品包装フィルム、薬品包装フィルムなど水を嫌う商品を保護するフィルムの水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)測定を行う装置。従来、こうした装置は赤外線センサなどを用いて水蒸気透過量の測定を行っていたため、高価であったが、同装置では、露点計を用い、等圧法で測定することでコストダウンを実現している。
等圧法を用いたことでフィルムの両面ともに大気圧での接触となり、真空を用いる測定では、フィルムの一方が真空、もう一方が大気圧のため試料フィルムに差圧がかかりダメージを与えるという問題が解決され、フィルムへのダメージを抑制することに成功している。
試料のフィルム形状はφ90mmで、1台の装置に2つのチャンバを搭載していることから、独立して2つの試料を測定することが可能だ。また、最大31台の同装置を1台のPCで制御することが可能なため、量産ラインでの活用も可能となっている。
分解能は、露点法のみだと制度が足りないことから感度補正として封じ切りを導入することで、バックグラウンドの除去に成功。これにより、0.5mg/m2/dayの分解能を達成している。
また、低コスト化の1つとして、加湿器を外部に搭載するのではなく、試料の下に直接水を配置する方式を採用。試料温度は太陽電池向けフィルムなどの試験にも対応可能な40~80℃を任意で設定することが可能となっている。
なお、価格は定価で1450万円としており、発売後1年間で5台の販売を目指すも、アルバックらでは、自社にとって食料や飲料、医薬品などは新規分野であり、こうした市場に向けてアピールしていくことで、販売台数を伸ばしていきたいと意気込みを見せている。