テクノロジーが大自然における観光客の危機を招いているという話がある。携帯電話にカメラ、GPSと、最近のパーソナルデバイスの進化には驚くべきものがあるが、こうした技術を過信したり、あるいは装置の操作に夢中になったりと、本来認識すべき危険を忘れてしまうことで、あらぬ事故に巻き込まれるケースが増えているという。
同件については米New York Timesが8月22日(現地時間)に「Technology Leads More Park Visitors Into Trouble」というタイトルでレポートしている。たとえばここで紹介されているケースの一部を紹介すると、イエローストーン国立公園を訪問していたある女性がバッファローに遭遇、その様子をビデオ撮影するために接近しすぎたところバッファローの突撃を受けて足に大けがを負うことになった。その一部始終はYouTubeにアップロードされているので、下記のビデオ映像を参照してほしい。同公園のレンジャーらによれば今年7月は訪問客が過去最高を記録しており、こうしたテクノロジーに関するトラブルが急増しているという。
国立公園にまつわる話題としては、今月になりグランドキャニオンを訪問していたフランス人の少年が写真撮影をしていて数十メートル滑落する事故が起きている。また前述のバッファローの件にあるように、野生動物に近付きすぎたことによるトラブルや(子供をフレーム内に入れて撮影しようとすることがあるという)、警告を無視して間欠泉に近付こうとするなど、非常に危険なケースがあるようだ。ひどいケースでは、山の頂上から携帯電話でレンジャーを何度も呼び出して、水や麓までのガイドを要求した例もあるという。こうした遭難のケースでは、登山者が夜に山を登ったことが原因だったり、いたずら半分で呼び出しをしたりと、準備不足や救助隊の存在意義を勘違いしていることに起因する。
これらはまだ幸運なほうだが、死に至るケースもある。ラスベガスからやってきた2人の若者が、米ユタ州にあるザイオン国立公園で命を落とす事故が今年春にあった。バージン川を手作りの"いかだ"で下ろうとしてトラブルに巻き込まれたわけだが、後の調査で必要十分な食料やキャンプ道具を持っておらず、さらに野営用の装備はいっさい持っていなかったことがわかった。2人の目的は、ディスカバリーチャネルの「Man vs. Wild」という番組への投稿ビデオを撮影することにあると、出かける前に両親に説明していたようだ。
もう夏の行楽シーズンは間もなく終了するが、これから旅行に行かれる方はぜひ気を付けて楽しい現地滞在を楽しんでほしいと思う。