帝国データバンクは8月25日、同日発刊の経営情報誌「TDB REPORT 105号 TDB業界動向2011-Ⅰ」で96業界220分野の業界動向を調査し、2010年度の業界天気を予測したなかから、主要44業界50分野の2010年度天気予測と各業界のポイントを発表した。
同社では、各業界の生産や販売、売上、収益動向などから景況感を総合的に判断したものを「業界天気図」とし、最も景気が良い状態を「快晴」、以下「晴れ」、「薄日」、「曇り」、「小雨」、「雨」、最も景気が悪い状態を「雷雨」と7段階で表している。
2010年度の業界天気予測は、「快晴」がゼロ、「晴れ」が1分野、「薄日」が3分野、「曇り」が16分野、「小雨」が14分野、「雨」が13分野、「雷雨」が3分野となった。
2009年度と比較して「改善」したのが23分野、「横ばい」が23分野、「悪化」は4分野となった。この要因として、「多くの業界でリーマン・ショック後の市場の落ち込みが底打ちから反転増加に向かったこと」、「製造業を中心に業績の改善傾向が強まったこと」が挙げられている。
改善の傾向にあるとはいえ、50分野のうち30分野が「雨もよう」(小雨~雷雨)で、鉄鋼・機械・自動車などの製造業は「雷雨」から「雨」、「雨」から「小雨」程度の回復にとどまっている。
同社では、「2010年度は設備投資や住宅投資が回復する一方、政策効果の期限切れから内需が下振れするリスクを包含しており、自律的に回復できる業界とそうでない業界に分化していく」と見ている。
「快晴」「晴れ」の分野
「快晴」はゼロ、「晴れ」は「総合商社」のみだった。その理由として、総合商社は資源採掘関連が好調なほか、新興国における需要増が期待されているインフラ関連の整備を先導する役割を担うことが挙げられている。
「薄日」の分野
「テレビ・ネット通販」「ファーストフード」「教育サービス」が「薄日」となった。「テレビ・ネット通販」は競争激化で「晴れ」から低下し、「ファーストフード」は値下げ戦略によりファミレスなど他の業態から顧客を奪って成長した。
「曇り」の分野
「銀行(主要行)」や「損害保険」「住宅(戸建て)」「医薬品製造」「家電製造」「インターネットサービス」など16分野が「曇り」となった。
「小雨」の分野
「マンション」「不動産」「紙・板紙製造」「造船」「百貨店」など14分野が「小雨」となった。「ホテル・旅館」と「旅行」は国内旅行需要の回復などで「雷雨」から上がった。
「雨」「雷雨」の分野
「リース」「鉄鋼(高炉)」「トラック輸送」など13分野が「雨」、「建設」「居酒屋チェーン」「人材派遣」が「雷雨」となった。