シトリックス・システムズ・ジャパンは8月24日、米国本社の社長兼CEO マーク・テンプルトン氏によるプレスラウンドテーブルを開催。同社のこれまでの歩みと将来のコンピューティング環境における仮想化技術の重要性を説明するとともに、インテルのマカフィー買収に関する同社の見解を示した。
テンプルトン氏は冒頭で、「リモートアクセス製品が1つしか存在しなかった」という2001年当時の同社の状況を振り返り、「これでは会社の成長は望めない」という判断から、現在のスマートフォンのようなデバイスを想像し、そのインフラを支えるビジネスを展開するという発想に至ったという。そして、これが仮想化技術を核とした今日のシトリックス・システムズの基盤となっていると説明した。
さらに同社は、当時から「いつでもどこでも仕事ができる」環境の実現を目指しており、イメージビデオも制作していた。
同氏によると、仮想化技術の真の価値は「生産性とスピード感のあるモバイル環境を実現できること」にあるという。そして、その可能性はまだ「生まれ始めたばかりであり、今後エンドユーザーの環境に大きな変化をもたらす」とした。
このような将来の方向性を現時点で具現化しているものの1つが「Citrix Receiver」である。テンプルトン氏は「日本に来ると毎回秋葉原で半日ぐらいは遊ぶ」というほどのガジェット好きだそうだが、今回は米国で発売が開始されたばかりのデルのAndroid搭載小型タブレット「Dell Streak」取り出して「Citrix Receiver」のデモにトライ。こちらは残念ながらうまくいかなかったものの、別途用意されたiPad(「Citrix Receiver for iPad」)でWindows 7の環境にリモートアクセスするデモを実施した。
同氏はさらに、このような小型端末の技術面での進化について触れ、「これまでの小型端末は"アラート用"であり、いわば"少量のおやつ"を食べていたに過ぎない」とし、バッテリの進化なども踏まえて今は「しっかりと"食事"ができるようになった(ビジネスでも十分に使えるようになった)」と、独特な表現で説明。「大型のスクリーン(つまり従来型PC)はアプリケーションやコンテンツを"作る"という側面において存在し続けるが、ユーザーの環境においては、今後はこのような小さなスクリーンのデバイスが主流になる」という、コンピューティング環境の将来像に対する考えを示した。
そして同氏は、とりわけ"デジタル世代"と呼ばれる若い世代がコンピュータに求めるものとして「"何でも" "どこでも" "いつでも" したい」という考えを持つ傾向があることを示しながら、「このような複数のニーズ、多様なデバイスに対応(あらゆるデスクトップ環境を実現)することで、さまざまなワークスタイルを提供する」という点において、今後はさらに同社の仮想化技術の重要度が高まるとした。
なお今回のラウンドテーブルでは、質疑応答の際に記者から「インテルのマカフィー買収に対する考えは?」という質問が出たが、これに対して同氏は「当社のビジネスに対して直接的な影響はない」とし、「むしろ"プラス"になると考えている」という見解を示した。