SAS Institute Japanは8月24日、金融機関を対象とした「SAS IFRS金融商品会計ソリューション」を9月より提供開始すると発表した。同製品は、会計とリスク管理に対応し、リスクモデル構築をはじめとするIFRS金融商品会計で求められる機能を網羅する。
初めに、代表取締役社長の吉田仁志氏が同社の上半期の概況について説明した。「上半期は新規ライセンスが前年に比べて倍増しており、現時点で昨年全体の売上に達している。また、"SAS Business Analytics Framework"、"SAS Customer Link Analytics"、"SAS OnDemand: Drug Development "といった新ソリューションで大型案件を受注している」と、同氏は上半期のビジネスの好調ぶりを示した。
下半期は、「非構造化データの解析技術を応用した製品の投入」、「SAS OnDemand対応製品の開発」、「顧客サポートの充実」などに重点的に取り組む。
次に、執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏が新金融商品会計における変更点とSAS IFRS金融商品会計ソリューションの特徴について説明した。
同社では、IFRS(国際会計基準)が金融機関に与える影響のうち、第7号と第9号で規定されるが「新金融商品会計」が最も影響が大きいと考えている。「新金融商品会計における主な変更点は、会計にリスクの概念が導入されること、金融商品分類が公正価値法と償却原価法の2分類に変更になることの2点になる」と同氏。
こうした状況を踏まえ、同社では「分類」、「測定」、「連結/開示」というステップから構成されるフレームワークに基づく同製品を提供する。同氏は、「会計、リスク管理ともに当社がこれまで力を入れてきた分野。SAS IFRS金融商品会計ソリューションはこの2つを融合するとともに、金融商品会計で必要な機能をすべてカバーする」と述べた。
このフレームワークに対して、同製品は「分類」、「測定/仕訳」、「連結/開示」という」3つのコンポーネントを提供する。
分類のコンポーネントでは、複数の金融商品を取り込んで結合し、登録された分類ルールに従って金融商品の測定方法を割り当てる。
測定/仕訳のコンポーネントでは、「公正価値測定」、「償却原価測定」、「ヘッジ会計」が行われるが、同製品の特徴とも言えるのが「償却原価測定」である。というのも、償却原価測定は「期限前償還リスク推定」、「予想信用損失推定」、「償却原価測定」、「仕訳」という4つの機能から構成されるが、多くの競合製品には「期限前償還リスク推定」と「予想信用損失推定」がパッケージに含まれていないからだ。
国内におけるIFRSの適用の詳細が定まっていないなか、対象企業はIFRSの準備を行わなければならないため、IFRS対応製品には拡張性や柔軟性が求められる。同製品では、例えば、公正価値法と償却原価法で用いる計算モデルを変更・拡張することが可能だ。