矢野経済研究所は8月23日、電子ペーパー市場に関する調査結果を発表した。これによると、世界の電子ペーパー市場規模は、2009年が前年比約1,030%の337億円で、2012年には前年比約122%の1,090億円に上るという。
2009年の電子ペーパー世界市場規模は、メインアプリケーションである電子書籍端末/電子ビューワー市場が立ち上がったことで一気に需要が増加し、前年比約1,030%の急成長を遂げた。2010年は電子書籍端末としても使用可能な「iPad」が発売されたことで市場が活性化するとともに電子書籍端末需要が拡大し、市場規模は前年比約211%の710億円と見込まれている。
2011年は、電子ペーパーメーカーがさらなる電子書籍端末の普及に向けて端末価格「100 ドル」を目指し、電子ペーパーモジュールの値下げを行うと見られるという。結果、電子ペーパー市場の大半を占める電子書籍端末向けの単価が下落し、同年の市場規模はそれまでと同様の大幅な伸びは期待できず、前年比約126%の893億円と予測されている。2012年は電子書籍端末における低価格競争が一段落する見通しとのこと。
2009年時点で電子書籍端末に採用されている電子ペーパーはほぼ100%マイクロカプセル方式だが、2011年にはマイクロカプセル、マイクロカップ、電子粉流体、液晶系等の各方式の電子ペーパーを搭載した電子書籍端末/電子ビューワーが上市される見込みだ。ただし同社では、量産実績からマイクロカプセル方式が価格で他方式を引き離すのではないかと分析している。