日本アイ・ビー・エムは8月18日、同社製プロセッサ「POWER7」を搭載したサーバ5製品を発表した。最上位機種となる「IBM Power 795」は最大256個のプロセッサコアを搭載可能で、最大1024スレッドを同時実行できる。同日、AIXの最新版「V7.1」も発表された。
今回発表されたサーバは、「IBM Power 795」、「IBM Power 710 Express」、「IBM Power 730 Express」、「IBM Power 720 Express」、「IBM Power 740 Express」の5製品。
理事 システム製品事業 パワーシステム事業部長の高橋信氏は、「Power 795は最上位モデルで、Power 710、720、730、740はエントリーモデルとしてボリュームゾーンを狙っていく。今年2月にミッドレンジのPower 770と780を、4月にブレードサーバBladeCenter PS Expressを発表しており、これでPOWER7サーバのフルラインアップが完成したことになる」と述べた。
Power 795は現行のPOWER6搭載の最上位機種のPower 595と比べ、CPUコアは4倍の最大256個、同時実行可能な最大スレッド数は8倍の1,024個となっている。同氏によると、LPARの数も1,000を超えるという。同製品はプロセッサ・ブックと呼ばれるモジュールを8個搭載することができる。加えて、同製品は仮想サーバを制御するファームウェアをメモリ上にコピーする際、2重にコピーする機能「Active Memory TM Mirroring for Hypervisor」も搭載している。
同氏は「Power 795の1個のプロセッサ・ブックに、ヒューレット・パッカードのSuperdome2台分の機能を収納することができる」と、同製品の性能とスケーラビリティをアピールした。
スケーラビリティという観点からは、VMware製品による仮想化環境に対するアドバンテージも紹介された。「今、VMwareが仮想化製品のデファクトスタンダードと言われているが、当社は40年も前から仮想化に取り組んできた」と同氏。
ホストOS上にゲストOSを構築することで仮想化を実現する他社の手法と比べ、同社の仮想化の手法ははハードウェアにHypervisorを実装するというもの。これにより、他社の手法は「仮想マシンモニタが複雑かつ大規模」、「ハードウェアと仮想化ソフトウェアがバラバラに開発」、「I/Oのオーバーヘッドが大きい」といった特徴があるのに対し、同社の手法は「ハードウェアとソフトウェアが一体となった開発」、「オーバーヘッドがほとんどない」、「シンプルで小規模なファームウェア」という特徴を持つ。「VMwareには論理CPUが8個という制限があるが、PowerVMは256個まで対応できる」
さらに同氏は、「仮想化におけるリーダーシップをもって、クラウドコンピューティングを支えていきたい」と語った。
同社は他社システムからの移行支援施策「Migration Factory」を行っているが、2010年第2四半期は285件のPOWERシステムへの移行を実施したという。285件の内訳は、171件はサン・マイクロシステムズ製品からの移行、74件がヒューレット・パッカード製品からの移行だ。同氏によると、国内では実際に移行した企業はそれほど多くないが、昨年11月に同施策を立ち上げて以来、相談件数は100件を超えているという。
また同日、同社のOS「AIX」の最新版「V7.1」が発表された。同版の最大の特徴は、AIX 7のWPAR(ワークロードパーティション)でAIX V5.2を稼働させることができること。この機能により、AIX V5.2を使っているユーザーもPOWER7のパフォーマンスを利用することが可能になる。出荷は9月10日に開始される予定。
サーバ製品の出荷開始は9月17日が予定されており、各製品の最小構成価格、最大メモリ容量、最大ディスク容量は次のとおり。
製品名 | メモリ容量 | 最大ディスク容量 | 最小構成価格(税別) |
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IBM Power 795 | 8TB | 1,248TB | 5,887万8,600円 |
IBM Power 710 Express | 64GB | 1.8TB | 90万7,800円 |
IBM Power 730 Express | 128GB | 1.8TB | 216万9,600円 |
IBM Power 720 Express | 64GB/128GB | 2.4TB | 108万5,700円 |
IBM Power 740 Express | 256GB | 2.4TB | 247万5,200円 |