米PC Pitstopが開発したPCチューニングソフト「PC Matic」が、日本に本格上陸する。ブルースターが日本での総販売代理店として、日本における販売を担当。オンラインによる販売に加えて、マグノリアを通じて、「PC Matic 2011」の商品名でパッケージ版の販売を行う。

日本で発売されるPC Matic 2011のパッケージ

PC Maticは欧米で200万ライセンスを販売し、PCチューニングソフトウェア分野ではナンバーワンのシェアを誇る製品。ドライバの自動更新、一時ファイル削除、レジストリ削除、メモリ最適化、デフラグ機能、ネットアクセス高速化、アプリケーション起動の高速化といったチューニング機能に加えて、自らのPCの快適性能が、世界でどのクラスにあるのかを知ることができるワールドランキング表示や、スケジュール機能などを搭載している。

米PC Pitstopのキース・リンデンCOO

米PC Pitstopのキース・リンデンCOO(最高執行責任者)は、「PCは何年も使用しているとレジストリが複雑化することでエラーが発生しやすくなったり、動作が遅くなったりということが起きやすい。こうした問題をワンタッチで解決できるのがPC Matic。最新のドライバに入れ替えることもできる。クラウド型ソフトウェアとなっているのも特徴であり、常に最新のモジュールがダウンロードされて使えるようになる。面倒なバージョンアップが不要で、常駐するプログラムも1MB以下の小さなものとなっている」とする。

すでに日本国内では、今年2月からブルースターが試験販売を行い、約2,000本の販売実績を持つが、このほどパッケージ版の販売を開始し、日本での展開を本格化する。「パッケージ版を販売するのは、試験販売の段階で、法人需要を中心にパッケージの箱を後から欲しいという要求が相次いだため。オンラインで購入してもあとからパッケージの箱やマニュアルが欲しいというケースが5%を占めた」(ブルースター・坂本光正社長)という。

PCの状況は無料で診断し、チューニングとセキュリティ対策は有料で提供する

製品はクラウド型で提供する。PCに常駐するプログラムは1MB以下の小さなもの

常に最新版のソフトウェアが提供される仕組みとなっている

ブルースター 坂本光正社長

今回の製品投入において、ブルースターは3つの興味深い取り組みを行っている。

ひとつめは、最低ライセンス単位を5ライセンスとし、購入者は1年間4,980円の価格で利用できるようにした点だ。「PCチューニングソフトを利用している人は、複数台のPCを所有していたり、友人から相談される場合も多い。自分が所有するPC以外にも、家族のPCや、友人のPCにも使ってもらえることができる」(坂本社長)という考え方をベースにした取り組みだ。米国でも5ライセンス単位での販売が最小単位であり、これによって成功を収めているという。

2つめにはセキュリティ機能を新たに搭載した点だ。いわば、PCチューニングソフト+セキュリティソフトという提案を行うことになる。「シマンテックなどのセキュリティソフトメーカーに真っ向から対抗するのはとても無理。しかし、PCチューニングソフトという領域から横入りすることができるのではないか」と坂本社長は語る。リアルタイム検知エンジンを搭載し、これによりスパイウェアやウイルス、ADスパイウェアなどを削除することができる。「既存のセキュリティソフトの期限が切れても、引き続きPC Maticを使ってもらうという提案ができることから、既存セキュリテイソフトの更新阻止といった効果もある」などとした。

PCチューニングソフトとしてだけでなく、セキュリティソフト市場にも参入することになる

そして、3つのがPC Maticの最大の特徴ともいえる「フリーミアム」への取り組みだ。フリーミアムとは、一部機能を無料で利用してもらい、それ以上の機能を利用する場合には、有料で提供するという仕組みだ。PC Maticの場合は、診断機能はネットを通じて自由にダウンロードでき、これを無料で使用可能。そして、自動的にPCをチューンアップしたい場合には、有料でライセンスを購入すればいい。「チューニングが自分でできる人は、診断機能だけを無料で利用してもらえればいい。ワンタッチで手軽にチューニングしたい場合に、初めて購入してもらう仕組みになる」という。

この仕組みを利用したマーケティング展開も活発化させる。

たとえば、グリーンハウスと連携して同社のUSBメモリのなかにPC Maticを搭載し、無償でPC Maticの診断機能を利用してもらう。ユーザーは必要に応じてライセンス版をオンラインで購入すれば、自動チューンアップやセキュリティ対策が行えるというものだ。グリーンハウスにとっては製品に診断という付加価値が組み込むことができるようになるとともに、ユーザーが有償サービスを購入した場合には、コミッションが支払われるというメリットもある。

グリーンハウスのUSBメモリーにも搭載される

ブルースターでは、複数の周辺機器メーカーやソフトメーカー、PCメーカーにも同様の提案を行っており、フリーミアムを活用したパートナー戦略を加速する考えだ。

PC Maticは、フリーミアムを核としたユニークなマーケティング手法によって、日本における存在感を高めようとしている。

左から、グリーンハウスの小澤達夫取締役、米PC Pitstopのキース・リンデンCOO、ブルースター・坂本光正社長、マグノリアの広沢一郎社長