Check Point Software Technologiesは8月10日~12日にかけて、アジア/アフリカ地域を対象にしたプライベートカンファレンス「Check Point Experience Singapore 2010」をシンガポールで開催している。今回、アジア太平洋セールス担当副社長 Itzack Weinreb氏にインタビューを行い、UTM製品の市場やクラウドコンピューティングについて話を聞いた。
競合に対するアドバンテージは一歩先行く技術力
初めに同氏に競合について聞いてみたところ、「ネットワーク市場とエンドポイント市場で異なる」という答えが返ってきた。
「ネットワーク分野における主な競合はシスコシステムズとジュニパーネットワークス、ミッドマーケットにおいてはフォーティネットだ。また、エンドポイント分野では、シマンテックとマカフィーが競合となる」
今回のカンファレンスで、アンチウイルスのエンジンが改善されたことが発表されたが、その際、比較対象として引き合いに出されたのがシマンテックとマカフィーだった。スキャンにかかる時間は両社の倍になっているほか、ブートタイムやメモリリークにおいても両社を凌ぐパフォーマンスとなっている。
ただ同社は競合と競争するよりは、パートナーとして協力して、お互いに成長していくことを目指したいという。
また技術的には、昨年発表したアーキテクチャ「Software Blade」は画期的な技術であり、「これに追随する技術を有する企業はない」と、同氏は自信を見せた。
UTM市場に対しても大きなアドバンテージをもたらす「Software Blade」
同社はさまざまな製品を提供しているが、ここでは、日本で特に人気があるUTM製品について聞いてみた。
「UTM製品は価格競争が厳しいが、チェックポイントは競合に対してどのようなアドバンテージを持っているか?」と聞いたところ、「個人的には、価格が下がっているという印象はない」という答えが返ってきた。
同氏によると、日本市場では特に価格ではなく「テクノロジー」と「サポート」が重要視されているという。
「日本の企業がUTMを導入する際、"サポート体制に投資しているかどうか"、"技術が先進的であるかどうか"が決め手となる。価格はこれらについてくるものだ」
さらに、UTMにおける同社の技術的な強みについて聞いた。同氏はまず、「ファイアウォールを開発したのは当社のCEOだ。現在は、これがスタンダードとなっており、セキュリティベンダーはわれわれについてきているというわけだ」
加えて、先ほども話に出てきたSoftware BladeはUTM市場に対してもアドバンテージを与えるという。
同氏は、同社が日本の顧客に与えるメリットについて、「当社は5年間のサポートを保証しているので、新しいプラットフォームを購入しても安心して使ってもらえる。また、当社の製品は導入および統合に伴う作業が簡素化されているため、コストと手間を抑えることが可能だ。そして、われわれはセキュリティベンダーの第一人者として、これまで日本にはなかったような革新的な製品を提供できる」と説明した。
クラウド導入においてセキュリティは問題ではない
最後に、日本で最もはやっているITと言っても過言ではない「クラウドコンピューティング」について、同社としてはどのようなスタンスをとっているのかについて聞いた。今や、あらゆるベンダーがクラウドコンピューティングに関連したサービスや製品の提供を行っている。
しかし、同氏から返ってきた回答は「企業がクラウドコンピューティングを導入する際、セキュリティよりも先に解決すべき課題がある」という冷静なものだった。
「クラウドコンピューティングではITリソースとともに、データを外部のネットワークに置くことになる。しかし、企業は重要なデータは手元に置きたがり、外部に置こうとはしない。これでは、クラウドコンピューティングの利用は進まない」
同氏は、「日本において進んでいる仮想化技術は非常に重要だ」と付け加えた。
同社はVMwareによる仮想化環境に対するセキュリティ・ソリューションも提供しており、仮想化環境におけるセキュリティ対策の重要性や戦略についても聞きたかったのだが、時間が足りなくなってしまった。
同氏が「日本では仮想化が進んでいる」といったように、国内において仮想化技術は高度化しており、企業での導入でも広がる一方だ。
同氏は来月に来日する予定があり、スケジュール次第でインタビューの続きに答えることを約束してくれた。ぜひ、この約束が叶うことを期待したい。