Analog Devices(ADI)は8月10日(米国時間)、同社の開発プラットフォーム「MS-DPD(Mixed Signal Digital Pre-Distortion system board )」としてマルチキャリア携帯電話基地局向け製品を発表した。無線基地局設計者は同ボードを用いることで、DPD(Digital Pre-Distortion)のシステム評価を行うことが可能になる。

同ボードには、ADIのRFおよびミクスド・シグナル送信チェーンが搭載されているほか、AlteraのHSMC(高速メザニン・カード)コネクタに対応しているため、Alteraや同社パートナが提供するFPGA開発キットとシームレスに接続することが可能だ。

MS-DPDのデモボード(Rev.B)

これにより無線基地局の設計に従来必用だった、無線機のアーキテクチャの設計、評価という部品の選定から始まり、部品間の相性確認、最大限の性能を出すためのチューニングなどを行わずに、無線アーキテクチャを構築することができるようになるため、無線基地局の設計者は、設計コストや市場投入までにかかる時間を短縮することが可能になる。また、AlteraのFPGA開発キットと接続することにより、無線基地局の構築に必要な、より完成度の高い回路を構築することが可能となっており、単に送信だけでなく、フィードバックパスのシグナル・チェーンも構築可能なため、カスタマは独自のDPDアルゴリズムを競合他社のソリューションと差別化することに設計リソースを集中できるようになるとADIでは説明している。

さらにDPDアルゴリズムをFPGAにプログラミングすることで、無線回路の送信パスの非線形性の補正と無線回路全体の電力効率の改善が可能。また、AlteraのHardCopy ASICを用いることで、低リスクで量産対応させることも可能だとAlteraでは説明している。

同ボードには、アンプ、ミキサ、クロックIC、パワーマネジメントIC、およびPLL(フェイズ・ロック・ループ)回路のほか、1.2GSPS D/Aコンバータ「AD9122」やクワッドラチャ変調器「ADL5375」といった12種以上のADIのRFおよびミクスド・シグナル製品が搭載されている。また、フィードバックには、DPDで利用可能な帯域幅を最大化するために、12ビット250MSPS A/Dコンバータ「AD9230」が含まれている。

なお、同ボードはすでに単価3,995ドルで特定顧客向けに提供を開始しているという。