Infineon Technologiesは、パワートレインとシャーシの車載アプリケーション向け32ビット・マイクロコントローラ(MCU)の新ファミリ「AUDO MAX」を発表した。
クロック速度とフラッシュメモリの異なる、4つの製品シリーズ「TC179x」(最大300MHzのハイエンド・アプリケーション向け)、「TC178x」(最大180MHzのミッドレンジ・アプリケーション向け)、「TC174x」(トランスミッション・アプリケーション向けの特殊ベアダイ向け)、「TC172x」(最大133MHzのローエンド・アプリケーション向け)で構成される。「TC1782」など、1部の製品のサンプルとスターターキットは2010年9月からの提供開始が予定されており、量産は2011年前半が予定されている。
同ファミリは、内燃エンジン自動車でEuro 5とEuro 6の排ガス基準に対応するエンジン制御システムの設計をサポートするほか、電気自動車ではパワートレイン機能の電化を実現する。主な特徴としては、最大300MHzの最大クロック周波数、SENTやFlexRayなどの高速インタフェース、デバイスのPRO-SIL(安全度水準)機能を使用することによる機能安全に対する包括的サポートなどが挙げられる。また、90nmプロセスにて同社独自のプロセッサ・アーキテクチャ「TriCore」を採用、最高170℃での使用に対応している。
内燃エンジン制御アプリケーションへ適用した場合、最高の空燃比を計算しつつ、個々のシリンダの燃料噴射と点火について最適なタイミングを決定することが可能となる。また、包括的な安全機能により、連続減衰力制御など、パワートレインとシャーシの両方で高水準の機能安全を実現するための設計作業が可能となるほか、X-by-wire車両のオートマチック・トランスミッション(AT)制御にも対応する。
PRO-SILは、安全関連機能の実現と、IEC61508またはISO26262の国際基準に準拠したシステムの設計のため、自動車システムのサプライヤと自動車メーカーをサポートすることが可能で、例えば、PRO-SILによって、メモリ保護機能を実装して、安全性を重視するソフトウェアと重視しないソフトウェアを分離することが可能となる。また、誤り訂正符号とチェックサム検証を実装して、演算の完全性を保証することも可能となる。さらにTriCoreアーキテクチャには、メインプロセッサとコプロセッサが採用されており、非同期のデュアルコア安全システムとして使用することも可能だ。
同社では、最高170℃の周辺温度で動作可能なベアダイ版も提供するほか、2つの10Mbps FlexRayチャネルと、2~4つの1Mbps CANノードを採用したデバイスも用意。高分解能のセンサデータを送信するためのSAE規格「SENT(Single Edge Nibble Transmission)」インタフェースもMCU上に集積されており、システムインテグレーションの簡素化が可能。組み込みインタフェースによって、デジタルセンサと直接通信を行うことができるようになる。