情報通信研究機構(以下、NICT)は8月5日、21言語に対応したiPhone用音声翻訳ソフトウェアとテキスト翻訳ソフトウェアを開発したことを発表。同日よりApp Store経由で提供を開始した。

「VoiceTra」のアイコン

これらのソフトウェアは、NICTが内閣府や総務省と共同で取り組む社会還元加速プロジェクト「言語の壁を越える音声コミュニケーション」の成果物として位置付けられており、同プロジェクトは、「ボーダレス社会を踏まえ、言葉の壁を克服する」ことを目的として推進されている。

音声翻訳ソフトウェアの「VoiceTra」はiPhone 3G/3GS/4で利用可能となっており、日本語/英語/中国語(普通語)/インドネシア語/ベトナム語の5ヵ国語での音声入力が可能。翻訳できる言語は、日本語/英語/中国語(普通語)/中国語(台湾)/韓国語/フランス語/ドイツ語/ヒンディ語/インドネシア語/イタリア語/マレー語/ポルトガル語/ポルトガル語(ブラジル)/ロシア語/スペイン語/タガログ語/タイ語/ベトナム語/アラビア語/オランダ語/デンマーク語の21言語となる。

NICTによると、音声翻訳ソフトウェアの翻訳精度は「おおよそTOEIC600点の語学力を持った人に相当する」とされている。

「VoiceTra」の音声翻訳画面

テキスト翻訳ソフトウェアの「TexTra」も上述の21言語に対応するが、ヒンディー語とベトナム語については、iPhone OS 3.0でのキーボード入力がサポートされていないため"入力"はできない。

「TexTra」のアイコン

テキスト翻訳ソフトウェアについては、「多言語対応であると同時に高品質」(NICT)である点が特徴とされており、NICTは「広く利用されている多言語ソフトウェア」との翻訳率の比較結果を公表し、その精度をアピールしている。

「TexTra」のテキスト入力画面(左は「アラビア語」を選択した場合)

「TexTra」と一般の多言語ソフトウェアとの翻訳率の比較(資料: 情報通信研究機構)

なお、これらのソフトウェアは上述の「社会還元加速プロジェクト」における性能評価・ユーザビリティ調査が目的とされており、この調査期間(予定)は今年の12月末までとなっている。調査終了後の運用については「現時点では未定」(NICT広報室)とのことだ。