米Hewlett-Packard アジアパシフィック&ジャパン HPソフトウェアソリューションズ バイスプレジデント Anthony McMahon氏 |
日本ヒューレット・パッカードは8月5日、同社のソフトウェア事業に関する説明会を開催。製品ポートフォリオや営業戦略を紹介した。
グローバルの動向について説明した、米Hewlett-Packard アジアパシフィック&ジャパン HPソフトウェアソリューションズ バイスプレジデントのAnthony McMahon氏は、現在のCIOが抱える最も大きな課題として「ITコストの構成改善」を挙げ、「現状、IT予算の約70%がシステムの保守に費されているという現状を改善しなければならない」と強調。そのうえで、HPが推進している「Business Technology Optimization(BTO)」という概念を紹介し、「エンド・トゥ・エンドでITバリューチェーンの自動化を図り、ビジネスへの貢献度の高いインフラを構築する必要がある」と説明した。
そのようなBTOを実現するためのキーテクノロジーとしてHPが挙げるのがクラウドだ。仮想化技術と自動化ソフトウェアを組み合わせることで必要なときに必要な環境を提供できるようになるクラウド技術の導入効果について、McMahon氏は「CIOがサービスブローカーの役割を果たせるようになり、ビジネスの拡大に向けて大きく貢献できる」と語り、すでにグローバルで取り組みが進んでいることを明かした。
日本ヒューレットパッカード 執行役員 HPソフトウェアソリューションズ統括本部長 中川いち朗氏 |
続いて国内向け戦略と製品ポートフォリオについて説明した日本ヒューレットパッカード 執行役員 HPソフトウェアソリューションズ統括本部長の中川いち朗氏は、McMahon氏の内容を引き継ぎ、ITシステムの将来像に触れたうえで、「クラウド環境を導入するとなると、ユーザー側のメリットは非常に大きいが、管理面では複雑性が増すことになる。したがって、単純に導入しただけでは、ITコストにおける保守費用の割合がさらに増加する可能性が高い」との見解を紹介。それを防ぐために、「運用フローも意識した高度なインフラが必要」との認識を示した。
そうしたインフラを整備するためのソフトウェア・ポートフォリオが以下の図になる。
HPのIT管理製品群では、サービスの管理や自動化が行えるだけでなく、CMDB(Configuration Management Database)を活用したITILベースの運用も支援するほか、アプリケーション管理やビジネス戦略面までも網羅。こうした製品群により「さまざまな規模のPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回してビジネス上の効果を高めることが可能」(中川氏)と言い、運用の改善だけでなく、運用と開発を組み合わせた視点から中期のプラニングを行ったり、サービスポートフォリオ管理という概念を取り込んで長期戦略を立案したりするうえでも有益であることを示した。
また、中川氏は、今後国内の成長が見込める分野として「監視/管理」、「自動化」、「テスト」の3つを挙げた。特に監視/管理と自動化に関しては、先述のようなクラウド環境導入時の運用コスト増加を防ぐうえで必要不可欠であり、ニーズも高まっていくと予測。そうした状況に対応するために、「運用管理や品質管理、情報管理に特化した営業部隊/SE部隊を新設した」(中川氏)ことも明かした。
なお、HPのクラウドに関する取り組みとしては、「企業内クラウドの構築支援」のみならず、「クラウド事業者の支援」や「クラウドサービスの提供」も実施している。クラウド事業者の支援という点では、ユニシスが提供しているPaaSサービスなどで全面的に採用されるなど、国内のクラウド事業者上位20社の約7割で利用/検討されていると言い、クラウドサービスの提供という点ではHP自身もクラウドサービスの提供を行っていることが紹介された。