米書店チェーン最大手のBarnes & Nobleは8月3日(現地時間)、会社売却も視野に入れた事業戦略の見直しに同社取締役会が着手したことを明らかにした。電子書籍の台頭の影響から、書籍販売を事業の中核とする同社の株価が低迷しているためで、株主価値の向上を目指すとしている。
同社は独立した取締役4人で構成される特別委員会を設置し、戦略選択肢を評価するプロセスを同委員会が監督する。すでに金融アドバイザーとしてLazard、法的アドバイザーとしてMorris, Nichols, Arsht & Tunnellと契約した。なお同社の創業者で取締役の1人である筆頭株主のLeonard Riggio氏が、同社の買収を目指す投資家グループに自ら参加する可能性を明らかにしている。
Barnes & Nobleは1971年にRiggio氏がニューヨークで購入した書店から始まった。広大なスペースに椅子やソファを設置し、店内にカフェをオープンするなど従来の書店のイメージを覆す店づくりと、ベストセラーの大幅ディスカウントなどで成功し、米国最大の書店チェーンに成長した。しかしながら近年の音楽CDの売上減、AmazonのKindleの成功やAppleのiPadの登場をきっかけとした電子書籍への急速なシフトの影響から業績が伸び悩み、1年前には777店だった店舗数が現在は720店に減少している。Barnes & Nobleもオンラインストアをオープンし、昨年末に電子書籍リーダー「Nook」の提供を開始したものの、電子書籍事業が書籍販売の下降を補えるほどの成長には至っていない。