三洋半導体は8月3日、カーナビゲーションや携帯テレビなどワンセグ放送を受信可能な小型液晶表示機器向けに、ワンセグ特有の"カクカク感"のある映像を、独自開発した倍速フレーム補間技術を用いることで、なめらかな映像に改善する画質改善LSI「LC749403BG」を開発したことを発表した。すでにサンプル出荷を開始しており、サンプル価格は750円、月産10万個規模での量産を計画している。
同製品は、2009年6月に同社が発表した画像改善LSI「LC749402BG」に倍速フレーム補間機能を追加したもので、データ量が少ないため1秒間に15フレーム映像しか伝送できないワンセグ放送を30枚に倍速補間して"カクカク感"をなくすことが可能となるというもの。すでに携帯電話などではソフトウェアによる倍速フレーム補間が行われているが、同製品はハードウェアで行うため、消費電力を低く抑えることが可能となる。また、ソフト処理では処理能力の問題から一方向だけ(横方向のみ)の補間になっているものもあるが、今回の倍速フレーム補間技術は、すべてハードウエア処理のため、多方向(縦・横)の動きを予測し補間する事で、どのような映像の動きに対しても、なめらかな動きを実現することが可能だ。
また、ワンセグ放送はデータ量が少ないため、色の濃淡を表すグラデーションが粗くなり、縞模様のように見える階調欠落という現象が発生する。これを解決するため階調補正が用いられるが従来手法では、グラデーションを滑らかにする処理を行うと、画の輪郭までぼやけてしまうという課題があった。同製品では、独自のフィルタリング技術を用いることで、シャープな輪郭を保ったまま階調欠落のみを補正し、滑らかで自然な画像を実現することが可能となる。
さらに、LCDのバックライト光源について、従来のバックライトが常に100%の光量で点灯していたのに対し、入力映像の輝度に応じて0~100%で最適な光量を算出し、自動制御する機能を搭載。加えて光量制御と同時に、映像信号に対して入出力特性制御も行うため、画像の視認性を保ったまま、低消費電力化を実現することが可能となり、電力削減値は入力映像の種類やLCDの仕様などにより異なるが、同社の実測実験では平均35%の電力削減を確認したという。