スマートフォンを決済の仕組みに活用しようという動きが、ここにきて急加速している。米Bloombergの8月2日(現地時間)の報道によれば、携帯キャリアの米AT&T、米Verizon Wireless、米T-Mobile USAの3社が共同で、スマートフォンを使った決済システムのテストを米ジョージア州アトランタなど4都市で実施する計画だという。将来的に、こうした仕組みがVisaやMasterCardといったクレジットカード会社の大きな脅威になる可能性が指摘されている。
先日、日本でもPayPalが現地法人の本格展開による決済サービスの拡大を発表したばかりだが、こうしたクレジットカードを介さない新たな支払いの仕組みに注目が集まりつつある。専用のICカードを必要とする電子マネーとは異なり、手持ちのスマートフォンなどを用いて店舗にカード情報を提示することなく気軽に支払いを行ったり、友人同士やオークションでの落札者同士で簡単に資金の移動が行える点に特徴がある。
Bloombergによれば、携帯キャリア3社は米Discover Financial Servicesや英Barclays Plcと共同で新システムの開発を進めており、スマートフォンを使って非接触型デバイスによる支払いを可能にするという。方式などは不明だが、おそらく一般的なスマートフォンで利用可能な技術を用いて実現されると見られる。システムのバックエンドは、Barclaysがアカウント情報を管理する形で実装されることになる。
比較的電子マネーの利用が広がっている日本に比べ、米国ではこうしたシステムがほとんど普及しておらず、公共交通機関やリテール店舗の一部で非接触型ICカードの実験がスタートしたばかりの段階だ。またICチップ入りクレジットカードもあまり普及しておらず、磁気カードを読み取り機に"Swipe"させる形態が一般的だ。
一方でBloombergが指摘しているように、米国でのスマートフォン普及速度は目覚ましいものがあり、これを利用したモバイルバンキングユーザーの数も多い。もし今回の試みが成功するようであれば、これまでの前時代的な仕組みからモバイルペイメントへと一気にステップアップする可能性もある。