リコーは8月2日、2010年度第1四半期(4月~6月)の決算概要を発表した。売上高は、前年同期比1.7%減の4829億5400万円、営業利益は同259.6%増の218億4700万円、純利益は同712.1%増の73億3300万円となった。
リコー取締役専務執行役員の三浦善司氏 |
売り上げが減少しながらも利益が大幅に回復したことについて、同社取締役専務執行役員の三浦善司氏は、「売上高の微減は為替の影響によるもの。為替の影響を除けば2.3%の増収になった」と説明、「ソリューション販売増加などによる粗利率の改善と、2009年秋より継続している構造改革による経費削減効果などにより、営業利益が計画を上回った」とした。
また、「MFP販売台数が前年同期比で増加に転じ、まだまだ予断は許さないが需要は着実に回復しているとみている」(同)と、市場環境の改善や「数年来注力しているプロダクションプリンティング事業やソリューション事業などのリコーにとっての新規事業も前年同期比2桁成長を継続していることが利益を下支えしている」(同)とする。
さらに、第1四半期の概略として、純利益増に加え、運転資金のコントロール、投資見直しなどを継続し、205億円のフリーキャッシュフローを創出したことを強調したものの、2010年度通期見通しは為替、特にユーロの変動が大きいものの、変更はしないとした。ドルは90円で変更なしだが、ユーロは120円から110円へ変更。これが減益要因となるが、新規事業の成長加速と、構造改革活動の継続によって補っていくとし、2010年度の配当金予定額である年間33円を継続していくとした。
セグメント別の売り上げは、画像&ソリューション分野が画像ソリューション分が前年同期比4.8%減の3599億円、ネットワークシステムソリューションが同10.3%増の647億円となったほか、産業分野が同12.7%の279億円、その他分野が同1.8%増の303億円となった。
画像&ソリューション分野については、MFPのハード、ノンハードともにマイナス成長率となっており懸念事項であるものの、それをプリンタが2桁の成長でカバーしているのが現状だとしたが、新製品が第3四半期から第4四半期に投入する計画であり、それが期待できるとした。また、産業分野は、8四半期ぶりに営業黒字化を達成。その他分野は、1億円の営業損失と、「ほぼ黒字化の水準までこれた」(同)ことを強調。デジタルカメラの新製品など期待できる製品がでてきたことが期待できるとした。
地域別では、日本が同3.0%増の2129億円、米州が同6.6%減の1334億円、欧州が同9.3%減の1031億円、その他地域(アジア・太平洋/中国)が同19.1%増の336億円となった。「日本はMFPノンハードの分野、特にカラー印刷などの抑制が続いているのが現状」としたほか、「米州では一般市場での回復感が感じられず、億単位の取引も市場はなくなっていないが決定するまでに相当な時間がかかってとりきれていない。欧州は、スペインやイタリアなどの政府が機器購入の抑制などを行っているが、主戦場のフランスやドイツでは目立った動きがない。ただし、景気刺激策が終わったときに、それがどう動くかが読めない。その他地域は20%近い伸びだが、絶対額が小さい。この倍くらい売れると見ている」とそれぞれの地域の動きを説明した。
営業損益は日本が169億円、欧州が62億円、その他が44億円の黒字だが、米州が9億円の損失となった。この米州については「これまでさまざまな取り組みを進めてきており、ここまで回復がくれば2010年度第4四半期には黒字化できる」との見通しを示した。
なお、三浦氏は通期見通しの変更はないと先述したが、その内訳は国内が期初見通しよりも140億円増の9140億円、海外が同140億円減の1兆1360億円と変更され、営業利益の内容についても、販売増による利益が期初計画の450億円から605億円へと引き上げられたもののその他経費増が同-90億円から-126億円、為替影響ネットが同-200億円から-318億円へと変更された。