富士経済は7月29日、環境配慮型の新技術を利用した電力・エネルギーシステムの国内市場における動向の調査結果を発表した。

同調査結果は報告書(「2010電力・エネルギーシステム新市場(上・下巻)」)にまとめられ、主な対象領域はスマートグリッド関連の「ソーラーパワー」や「バッテリーシステム」、「燃料電池」「電動自動車関連」「熱源機器」「照明機器」「自家発電システム」「電源品質対策機器」「風力発電/バイオマス発電等」「空調・冷暖房機器」「制御関連機器」「電力系統関連機器」となっている。

市場の伸び率としては、2020年の市場規模が2009年比で49倍(7854億円)となる「燃料電池」が突出しており、家庭用PEFC(固体高分子形燃料電池)の拡大が見込まれるほか、携帯機器用DMFC(メタノール直接形燃料電池)、家庭用SOFC(固体酸化物形燃料電池)、自動車用PEFCの市場投入がその背景にあるとされている。

この「市場の伸び率」という観点では、「燃料電池」に次いで「電動自動車関連」(398.9%)、「ソーラーパワー」(358.4%)、「照明機器」(355%)、「バッテリーシステム」(343.4%)という順位になる。

「ソーラーパワー」に関して同調査では、「2009年は市場の98%を結晶系シリコン太陽電池が占めるが、薄膜系シリコン太陽電池、CI(G)S型太陽電池も徐々に実績を伸ばす」とされており、同社は「2020年には薄膜系シリコン太陽電池が市場において16%、CI(G)S型太陽電池が同5%を占めるようになる」と指摘している。

また、現在は法人導入に限られている電気自動車については、「2010~2012年には一般発売が本格化する」とされているものの、走行距離や充電インフラの整備状況といった課題を踏まえると、「本格的な市場拡大は2020年以降となる」と同社は予測している。

「電力・エネルギーシステムの国内市場」2009年の実績と2020年の予測(資料: 富士経済)