Infineon Technologiesは、3種類のワイヤレスコントロール・レシーバ・ファミリ「TDA5240」「TDA5235」「TDA5225」を発表した。
3製品は、マルチバンド(315/434/868/915MHz)をサポートすることで、世界で使用されるすべての周波数をカバー。これにより、リモート・キーレス・エントリ(RKE)システム、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)、遠隔起動、コントロール/ステータス/アラーム機能といった、各種車載用アプリケーションでの使用に対応することが可能だ。また、これらのレシーバ・ファミリは、通常システムのマイクロコントローラによって実行されるタスクの一部を持っているため、マイクロコントローラの負荷を抑えることも可能だ。
3製品は、同社の既存レシーバファミリ「TDA5230/31」の後継製品。3つのうち2つのデバイスには、"TDA5230/31"によって導入されたデジタルデータ処理機能が採用されており、全体的な性能・機能が強化されている。また、IFフィルタ(オプションで外部フィルタも使用可能)やレベルシフタの機能も搭載されているため、システムを構成する際に必要な外部部品点数を低減することが可能となる。さらに、ローノイズ・アンプ(LNA)が搭載されているため、システム開発者は高度な設計をすることが可能であり、アプリケーションのニーズに応じ、システムの通信到達範囲を拡大できるほか、外部LNAを不要とすることでシンプルなシステム構成にすることが可能となる。
このほか、同レシーバ・ファミリは、FSKはTyp. -119dBm、ASKはTyp. -116dBmの感度を実現。現行レシーバ製品の平均データ転送速度が40kchip/sであるのに対し、これらファミリは、複数のエンコーディングスキームと変調スキームを組み込むことで、最大112kchip/s(FSK)仕様のデータ転送速度を実現している。また、高分解能ΣΔフラクショナルN PLLシンセサイザにより、マルチチャネルで10.5Hzの分解能を実現している。
供給電流は、パワーダウンモードで0.8μA、アクティブモードで12mA。受信すべきデータが存在しない場合はスリープ機能への高速フォールバックにより、レシーバのアクティブ時間削減が可能で、平均消費電力を従来以上に削減することが可能だ。また、最大4つの並列パラメータにより、自律型スキャニング・レセプション機能を設定した上で、異なる送信源からのデータを受信することができるため、ホストプロセッサとシステムの待機時消費電力を削減することが出来る。
"TDA5240"と"TDA5235"は、自律型レセプションモードに対応しており、所望のペイロードが自動的に抽出された後、ホストコントローラがインタラプトによってトリガされ、FIFOメモリからペイロードを読み込むことができる。ただし不要なRF信号を受信した場合、ホストコントローラはスリープ状態を維持。これによって、ホストコントローラ動作時のノイズが削減されることで、システムの感度向上と消費電力削減が実現される。さらに、追加されたエンコーディング方式(バイフェーズ、NRZ)と、市場をリードしている車載用RKE/PASE/TPMSプロトコルに対応しているため、高い柔軟性を実現しつつ、ソフトウェアの開発作業を最小限に抑えることができる。
なお、同ファミリは、TSSOP-28パッケージによりすでに量産出荷を開始している。車載適合品として、3.3Vまたは5.0Vの供給電圧と、-40℃~+105℃の温度範囲で動作。"TDA5225"の5万個注文時の単価は0.80ユーロからとなっている。