東芝は7月29日、同社2010年度第1四半期(2010年4月~6月)の決算概要を発表した。売上高は前四半期からの回復基調を維持し、前年同期比9.7%増の1兆4692億500万円、営業損益は四半期ベースの決算として2007年の従来最高値を超え、過去最高となる294億7500万円を達成、純損益も4億6600万円の黒字を確保した。
セグメント別では、デジタルプロダクツは液晶テレビ、HDD、PCいずれも好調で、液晶テレビは前年同期比で台数ベースで70%の伸び、PCも同30%の伸びを達成し、売上高が前年同期比22%増となる5996億円、営業損益も同17億円増の65億円となった。
電子デバイスは半導体、LCDいずれも堅調に推移。半導体はディスクリートがパワー半導体など、システムLSIがマルチメディア系やカスタムSoC、イメージセンサなどが好調だったほか、メモリはNAND型フラッシュメモリの価格が1年前とそれほど価格下落が生じなかったこと、および32nmプロセス化によるコスト低減の進展などの効果もあり、売上高が前年同期比23%増の2767億円、営業損益も前四半期に続き222億円の黒字を維持、黒字化が定着したと見るとする。
また、NAND型フラッシュメモリについては、8月より2Xnmプロセスの量産を開始、2010年末には32nmプロセス以降の微細プロセスを全生産量の90%まで引き上げる計画に加え、2011年春には2Xnmプロセスの本格量産を開始する計画としているほか、各工場の稼働率見通しもメモリが第2四半期も第1四半期に続き100%、システムLSIも300mmウェハが同じく100%、200mmウェハで第1四半期の70%から第2四半期には90%へと改善、125/150mmウェハで第1四半期90%から第2四半期100%へと改善され、ディスクリートも125/150mm、200mmウェハともに100%が続くとしながらも、光半導体に関しては欧州の動きもあり、60%程度に留まるとの見通しを述べた。
一方のLCDもスマートフォン向けやナビゲーション向けの大幅需要増により売上高は同17%増の556億円、営業損益も需要増のほか、コスト削減効果などの影響もあり、同88億円改善の12億円の黒字と、7四半期ぶりの黒字化を達成。これにより、電子デバイス全体の売上高は同22%像の3320億円、営業損益も689億円改善の270億円の黒字となった。
社会インフラは、原子力が好調で増収となったものの、電力・産業システム、ソリューションなどが前年度の景気低迷時期の影響が残った結果、売上高は前年同期比7%減の7%減、営業損益も同76億円減の11億円の損失となった。ただし、受注状況は好調で2010年度第2四半期からは黒字に転換できる見通しとしている。
家庭電器は、エコポイント制度の効果が継続して影響を及ぼしていることもあり、白物家電が好調に推移、LCDバックライトのコスト削減効果などもあり、売上高は同2%増の1385億円、営業損益は同34億円改善となり、12億円の損失まで赤字幅を縮小させることに成功している。
なお、同社は期初に提示した通期業績予測の数値に変化はないとしているが、為替相場の変動の影響を考慮し、期初の1ユーロ120円想定を110円に変更。これにより差額が生じ300億円の悪化となるが、コスト低減活動や売価アップ活動などを進めることで、この300億円分を吸収するとしている。