三洋電機は7月28日、2010年度第1四半期(4~6月期)の決算を発表した。これによると、連結売上高は前年同期比で9.1%(324億円)増となる3874億円、営業利益は同197億円増の139億円(前年同期は57億円の赤字)となって大幅な増益となったことが判明。7期ぶりに収支が黒字に転換した。
記者会見では同社 取締役常務執行役員 松葉健次郎氏が説明を行い、「国内ではデフレ傾向が続き、欧州では金融不安の懸念が残るものの、全体的には世界経済が緩やかな回復基調にある」とし、このような状況下で「太陽電池や光ピックアップ、車載機器、薄型テレビ、プロジェクタなどが堅調に推移した」と述べた。
今回の増収増益は、このような背景による増収効果と、同社が継続的に取り組んでいる原価低減活動の効果によるものだされている。売上高では、とりわけ前年同期比で19.9%(399億円)増となった海外事業の貢献度が目立つ結果となった。
なお、半導体事業については米オン・セミコンダクター・コーポレーションへの譲渡について最終合意に達しているため(現在は精査中)、すでに第1四半期の連結売上高・営業利益の対象からは除外されている。
商品部門別では、光ピックアップなどを担当する「電子デバイス部門」と車載機器や生活家電を担当する「コンシューマエレクトロニクス部門」が大幅に売上増となっており、今回の増収を牽引する大きな要素となった。松葉氏は「パソコン需要が堅調」とし、この影響によって「光ピックアップは前年同期比で2倍の売上を達成した」という。
第1四半期における「エナジー部門」の売上高は1033億円となっているが、その内訳は太陽電池が約300億円、二次電池が約720億円とされている(営業利益の内訳は非公開)。
なお、太陽電池は参入メーカーの増加や需要増などによって価格競争が激化する傾向にあるが、同社はすでに2010年度の業績予想に対して「国内外において従来比約2割の価格下落を想定している」(松葉氏)という要素を反映しているとしている。
営業利益では、前年同期比で58億円増の75億円となった「エナジー部門」と、同83億円増で63億円となった「(半導体を除く)電子デバイス部門」が黒字転換に大きく寄与。「電子デバイス部門」の増益は主として上述のような増収効果によるものだが、「エナジー部門」の増益については、「太陽電池による増収効果と二次電池における固定費削減効果によるもの」だという。
同社は、営業利益が大幅に改善した第1四半期決算の内容と半導体事業の譲渡などの要素を踏まえ、2010年度の上期における連結業績(営業利益)を5月6日時点の予想値である110億円から240億円に上方修正した。ただし「下期がどのようになるかわからない」(松葉氏)というように、先行きの不透明感から通期での業績予想については「据え置き」とした。