リード エグジビション ジャパン主催による「デジタルパブリッシングフェア 2010」が、7月8日(木)から11(日)の4日間、東京ビッグサイトで開催された。4日間の来場者数は87,449人(来場者公式発表人数)と、過去最高を記録した昨年の64,844人を大幅に上回る結果となり、電子書籍への関心の高さがうかがえる。
iPadの発売以来、急速に注目を集めるようになった電子書籍への取り組みは、凸版印刷による電子と紙の双方に対応する制作・流通サービスのほか、ネット上でのレンタル書籍という新たな発想でコンテンツ配信を行う電子書店サービス、著作権保護技術といったデジタルならではのサービスを展開する企業が、その技術を積極的にアピールしていた。また、フォントメーカーでは電子書籍で重要となる視認性、判読性を高めたユニバーサルフォントの紹介、電子書籍リーダーソフトウェアや閲覧用のハードウェアなども多くのメーカーから出展され、表示機能やインターフェイスの優位性をアピールするなど、これまでにない賑わいを見せていた。
既存の紙媒体に関わってきた企業からの出展に加え、インターネット上でのサービスやXMLをベースとしたオーサリング技術を提供するメーカーの出展が多く見られたのも、電子書籍という性格を色濃く反映しているといえるだろう。電子書籍は、印刷会社や制作・流通サービスベンダーが積極的に取り組むことで、一時の流行で終わらず定着した1メディアとしての地位を確立していくことが予見される。それでは、注目したいブースを紹介しつつ、その動向を確認してみよう。
イワタ
2006年より発売を開始している、年齢や性別などに限らずあらゆる人が快適に利用できるようデザインされた「イワタUDフォント」を展示。ふところを広くし、可読性を高めるシンプルなデザイン処理をされたユニバーサルフォントは、電子書籍でも重要となる視認性と判読性に貢献する |
凸版印刷
「出版イノベーション2010」と題したブースを出展。既存の書籍に加え、電子書籍やオンデマンドによる配信サービス、マーケティングのサポートなどを包括的に行う。既に制作しているDTPデータをデジタル媒体に展開できるようにするほか、動画や音声といったリッチメディアとして付加価値を加え、誌面に設けられたリンクポイントから販売サイトへ誘導するなど、出版社の収益性を向上するサービスも提案 |