日本アイ・ビー・エムは7月26日、パートナー支援を強化するための策として、パートナーの専用支援窓口を開設するとともに、パートナー同士の情報交換や交流、顧客へのセールス・プロモーションの場として活用できる「IBMイノベーション・センター」を渋谷事業所に7月30日に開設することを発表した。

同社は今年より、パートナーおよび中堅・中小企業ビジネスの強化を掲げ、さまざまな手を打っている。まず、パートナービジネスとSMBビジネスを統合し、パートナービジネスにおいてはパートナーを優先するという方針を明確にしている。これにより、IBMはパートナーと競合する市場ではSIを行わずに、協業することになった。

日本アイ・ビー・エム 2010年パートナー事業活動方針

日本アイ・ビー・エム パートナー&広域事業担当 執行役員 岩井淳文氏

パートナー&広域事業担当執行役員の岩井淳文氏は、「パートナーのビジネスにおいて、製品よりもソリューションの売上が伸びている。そのため、当社としても、"SOA""内部統制"といったソリューションによる切り口でのビジネスを支援していきたい。また、研修のポイント制度やクラウドコンピューティングに関する研修を整備するなど、ソフトウェアを中心にパートナーのスキルの向上もサポートしていく」と説明した。

こうしたパートナー支援強化の一環として、パートナー専用のマーケティング支援窓口が開設された。この窓口はオンチャネル・ジャパンが運営し、IBMのノウハウを活用して、パートナー独自ソリューションのマーケティングの企画・運営などを支援するというもの。

これまでのマーケティング活動では、「IBMの売りたい商材をパートナーが売るための仕組み」や支援プログラムを整備していたが、同窓口では「パートナーが売りたい商材にIBMが売りたい商材を販促するための仕組みや支援プログラム」を整備していく。

加えて、すべてのプログラムで専任の代理店を利用することで、ノウハウが蓄積されて幅広くかつ効果的なマーケティングプログラムの提供が受けられるようになるとともに、窓口が一本化されて業務処理のムダが省かれコストが削減できるという。

オンチャネル・ジャパンが運営するパートナー専用マーケティング支援窓口の仕組み

さらにパートナー支援策として、パートナー・ソリューションに関する同社製品環境での作業全般、顧客向けセミナーの開催などに活用できる「IBMイノベーション・センター」が渋谷事業所に新設される。

同センターは元々ソフトウェア事業のパートナーやISV向け施設だった「ソフトウェア・コンピテンシー・センター」をリニューアルしたものだ。具体的には、同社がパートナーと共に中堅・中小企業を対象としたクラウドを中心とするWebベースのソリューション・サービスを届ける仕組み「SOP」におけるソリューションの検証、IBM製品とパートナー製品を組み合わせたソリューションの開発などが行われる。

同社では国内の検証施設を箱崎・晴海・渋谷の3ヵ所に構えている。それぞれの役割は、箱崎の施設がIBM製品を紹介、晴海の施設が最新技術を検証、渋谷がIBMとパートナーの製品を組み合わせて紹介するというものだ。

ソフトウェア・コンピテンシー・センターがリニューアルされたIBMイノベーション・センター

日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業担当 専務執行役員の川原均氏

ソフトウェア事業担当 専務執行役員の川原均氏からは、ソフトウェア事業の観点からパートナービジネスについて説明が行われた。

同氏は、ソフトウェア事業におけるパートナーとの取り組みについて、「SOAパートナー・コミュニティ」「NECによるRational製品を用いたWebアプリケーション脆弱性診断サービスの提供」「IBMの世界標準のインダストリーフレームワークの推進」を挙げた。

またパートナーのスキルを強化するための支援策としては、8月下旬から開催予定の「エバンジェリストによるセミナー」、8月から提供される「売れ筋商材の売り方のシナリオ共有のセミナー」、8月第3週から実施予定の最新技術を習得する夜間セミナー「渋谷テクニカルナイト」、「最新製品を体験するセミナー」などが紹介された。

今年の4月から6月にかけて、パートナーと共催したイベントが3倍に増えたが、同社はこれをさらに増やしていく構えであり、またソフトウェア・コンピテンシー・センターでは150~200の開催されていたセッションも、同氏は「新センターでは倍増させる」と述べた。