「爆弾製造法やアルカイダ関連文書など、テロリストに関連したコンテンツが掲載されている」ことを理由に、突然運営会社によって閉鎖されたブログサービス。閉鎖から10日が経過した現在でも運営会社からの経緯や今後の見通しに関する説明はなく、利用者らの間では大きな怒りが広がっている。こうした状況になぜ陥ったのか、そして自分が利用しているサービスに同様の懸念はないのか、ネットサービス利用におけるリスクや依存度に関する議論が広がっている。
今回問題となったのは、ホスティング会社の米BurstNETが運営するBlogサービス「Blogetry.com」だ。BurstNETの説明によれば、同社は7月9日に政府関係者から危険行為に対する注意を受け、Blogetry.comのホスティングサーバ上の所有者情報を提供するよう依頼を受けたという。関係者の説明では、そこには爆弾製造法、アルカイダの"攻撃目標リスト"といったテロリスト関連のリンクが同サイト上に記載されていたという。こうした警告を受けた後、BurstNETはこれら情報が掲載されていることを確認し、同サイトの「テロリストのプロパガンダ、人種差別、爆弾/武器利用法」という利用ポリシーに違反したとの理由で同サイトの即時停止を行った。
だが問題となるのは、サイト停止で急にサービスが利用できなくなった多くのユーザーだ。実際に危険なコンテンツがサイト内に含まれていたとはいえ、残りの多くは無関係のユーザーのものだと思われる。しかもBurstNETのサイト停止は警告や一切の説明もなしの突然の出来事だったため、中で構築してきたデータの待避も行えずに突然サービスから切り離された状態となったようだ。Blogetry.comドメインでホスティングされていたブログ群は現在閲覧できない状態で、BurstNETが用意したユーザーフォーラムへと転送されるようになっており、ここにはユーザーらの怒りのコメントが並んでいる。
これに関して、英BBCが興味深いレポートを行っている。当初、7月9日の段階でCNETなど各社ニュースサイトはFBIがサイトの調査依頼を行い、BurstNET側もFBIからの依頼を受けたことを認めていると報じている。だがBBCによれば、FBI関係者の話としてサイトの停止までは依頼しておらず、その権限自体FBIには存在しないという。では、BurstNETは何を急いでサービスを緊急停止し、ユーザーからのリクエストを頑なに拒絶しているのだろうか?
またBurstNETの説明がないことで、ユーザーらはFBIが米国のPatriot Actを用いて強権を発動している、あるいはテロリスト捜査を理由に児童ポルノコンテンツの取り締まりを行っているなど、さまざまな憶測を巡らせているという。またWeb掲示板サービスを提供する「iPBFree.com」がこの事件の1週間後にBlogetry.comと同様の状態で急遽閉鎖に追い込まれるなど、本来関係ないと思われる2つの事象を結びつける動きもある。便利な各種Webサービスだが、一方でこうしたリスクがつねに存在することを認識していなければいけないのかもしれない。