ノークリサーチは7月14日、中堅・中小企業における業績とIT投資の相関関係に関する調査結果を発表した。
同調査は年商500億円未満の国内企業1000社に対して行ったアンケート結果をまとめたもので、実施時期は2010年5月とされる。
同調査では、2010年2月~5月と比較した2010年6月以降の経常利益増減の予測に応じたIT投資との関連性について調査が行われており、経常利益の増加を予測する企業の多くが「役に立つ」としているIT活用項目が、「ビジネスインテリジェンスによる業務や業績の見える化」となったことが判明している。
ただし同社は、この結果について「ここでの『見える化』とは、必ずしも経営層を対象とする戦略立案のための高度な情報提供とは限らない点に注意する必要がある」と指摘。中堅・中小企業においては「現場部門が現在の状況をデータとして把握することを指すケースも少なくない」という見解を示している。
一方で同社は、「業績改善に役立たないIT活用」に関して、「『経常利益の減少を予測するユーザ企業で多く挙げられ、逆に増加を予測するユーザ企業ではあまり挙げられていない項目』にまず着目することが重要」とし、その筆頭項目として「Web会議やIPテレフォニーによるコミュニケーション改善」と「サーバ機器交換による業務処理速度の向上」があると説明。業績の良くない(経常利益の減少を見込む)企業ほどこれらの項目に対して投資をしない傾向があるという実態が示されている。
同社は、ITベンダー側はこのような企業に対して「耐用年数を超過したサーバ上で業務に必要なシステムの稼働を続けることはトータル的な観点では逆に業績を低下させる要因にもなり得る」といったハードウェアインフラに対する重要性の認識を定着させるとともに、潜在的な需要を掘り起こすために、「(コスト削減だけではないWeb会議やIPテレフォニーの活用訴求など)が必要になってくる」と指摘している。