クレハは、同社のリチウムイオン電池(LiB)用負極材「カーボトロンP」が米EnerDelの電気自動車(EV)用LiBの負極材として採用されたこと、および今後のEVおよびプラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)向けのLiBの需要増に対応することを目的に、同社いわき事業所の製造設備を2012年1月までに現在の年産600tから2.5倍強となる1,600tへ増強することを決定したと発表した。

カーボトロンPは、石油ピッチを原料とする活性炭製造技術をベースに、1991年に事業化。以降、その特性である充放電特性と耐久性を生かし、産業用大型LiBなどを中心に使用されてきた実績を持つ。現在、自動車および電池メーカー各社が車載用LiBの開発を進めているが、そうした各社でも同製品のテストが進めれているという。

また、クレハ、伊藤忠商事およびEnerDelの3社は、カーボトロンPをEnerDelに供給するため、米国で2013年初めに稼動する新設プラントの第1期工事に係る設計業務開始について合意し、その業務を米国エンジニアリング会社と開始した。

上述の伊藤忠商事は、同社の中期経営計画「Frontiere2010」において、蓄電池分野を重点取り組み分野と位置づけており、米国のLiBメーカーのEner1(EnerDelの親会社)への出資、米Simbol Miningへの出資によるリチウム資源確保、戸田工業とのLiB正極材生産・販売合弁会社の設立、つくば市における低炭素交通社会システムの共同実証プロジェクトへの参画など、原材料や製造装置の販売から電池の2次利用まで展開を進め、電力貯蔵・蓄電池関連のバリューチェーン構築を進めている。

なお、いわき事業所での設備増強の詳細ならびに米国で新設するプラントおよび製造・販売を含む運営体制などの詳細については、現在協議中であり、クレハでは、決定次第発表する予定としている。