宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月14日、筑波宇宙センター(茨城県つくば市)にこのたび完成した新しい展示館を報道向けに公開した。従来使っていた展示室が手狭になってきたために、入り口付近の敷地に新設されたもの。一般向けには今週土曜日(7月17日)より公開される。
AXAの筑波宇宙センター。アクセス方法はコチラを参照 |
新しい展示館の面積は1,460平方メートル。これまで衛星試験棟にあった展示室よりも約1.5倍の広さに拡張された。展示エリアには「人工衛星による宇宙利用」「有人・宇宙環境利用」「ロケット輸送システム」「宇宙科学研究・月惑星探査」の各ゾーンが設けられ、新しい展示物も加えて内容をより充実させた。
新展示館の目玉と言えるのは、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶというミッションを完璧に成功させ、日本の高い技術力を見せつけた宇宙ステーション補給機「HTV」だろう。以前、宇宙ステーション試験棟のクリーンルーム内に保管されていたもので、春秋の一般公開で見た人も多いだろうが、これが常設展示となった。
もちろんこれは本物(実機)ではなく、実機相当の試験モデルではあるが、高さ4mに設置された展望ステージからの眺めは特筆もの。本当に目の前、手が届くような場所にHTVの非与圧部があり、そのスケール感が存分に伝わるものになっている。また、従来はなかった与圧部の模型も乗せられており、構造も分かりやすくなった。
与圧部はいきなり実機を作ったので、試験モデルがなかった。そのため展示用に新たに模型を作って乗せた |
下から与圧部の中が覗けるようになっている。ISSでの作業をイメージしてこうなっているが、もちろんHTVは無人機 |
曝露パレットは下に置かれている。ISSでは、ここに荷物を載せたままHTV非与圧部から出し入れされる |
以前は宇宙ステーション試験棟に保管されていた。初号機も無事に上がったので、試験モデルは"お役ご免"に |
大型の展示物では、このほか、ISSの日本モジュール「きぼう」も注目。この実物大モデルは以前の展示室にもあったものだが、新展示館では天井が高くなった(最高16m)ことで、船内保管室を実機と同じように船内実験室の上に乗せることができた。この設備は中に入って見れるので、宇宙飛行士の気分もちょっとだけ体験できる。
この新しい展示館の愛称を現在募集中。期間は8月31日までで、館内に投票用紙が用意されている。3つの候補の中から選ぶ形になっているが、「その他」の欄に自由に記入することも可能だ。
オープン時間(10:00~17:00)や休館日(基本的に年末年始のみ)などは従来と同じ。ガイドが案内してくれる一般見学ツアー(無料)もこれまでと同様に開催されるが、コースは展示室の代わりに展示館が入ったものになる。見学者は食堂の利用も可能。ただし、セキュリティ管理された敷地内に入るため、利用には申し込みが必要となる(平日のみ)。
展示内容は随時更新される予定。また特別展示の第1弾として、「おかえりなさい「はやぶさ」特別展」が8月2日より6日まで開催される。展示内容は、相模原市立博物館や丸の内オアゾと同様に、前面ヒートシールド、背面ヒートシールド、その他カプセル関係物品となっている。