プライスウォーターハウスクーパースは7月15日、「2010年3月期決算の上場企業の役員報酬水準、ポリシーの開示状況調査」の結果を発表した。これによると、2010年3月期決算の上場企業のうち、1億円以上の報酬を得ている役員は約290名だったことがわかった。

同調査は、「(1)2010年3月期決算の上場企業約2,600社」、「(2)(1)に含まれる各業界売上高上位10社および売上高1兆円超クラスの大企業の合計約360社」の2つの 区分において、役員報酬総額の分布、役員報酬ポリシーの開示状況について、有価証券報告書をもとに調査・分析を行ったもの。

2010年3月期決算の上場企業約2,600社全体では、1億円以上の報酬を得ている役員は287名に上り、約2,600社に含まれる各業界売上高上位10社および売上高1兆円超クラスの大企業(約360社)では、1億円以上の報酬を得ている役員は166名だった。

各業界売上高上位10社および売上高1兆円超クラスの大企業の役員の合計数は約4,400名で、1人当たりの平均報酬額は3,590万円だった。

2010年3月期決算の上場企業約2,600 社全体における1億円以上の報酬を得ている役員287名の構成割合は、「外国人経営陣」が7%、「創業者・オーナー」が40%、「日本を代表する大企業の経営陣」は41%だった。

1億円以上の報酬を得ている役員(287名)全体で、1.5億円未満の報酬を得ている役員の割合は62%と過半数を占めているが、2億円以上の報酬を得ている役員は16%にとどまっている。役員区分では「外国人経営陣」や「創業者・オーナー」は1.5億円以上の報酬を得ている役員の割合が45%だった一方、「日本を代表する大企業の経営陣」で1.5 億円以上の報酬を得ている役員の割合は31%となっている。

支払い形態を見ると、1億円以上の報酬を得ている役員全体では、総報酬額のうち固定報酬とその他(退職慰労金など)を合わせたものが約80%を占めており、広義の固定的報酬の比率が高くなっている。

2010年3月期決算の上場企業(約2,600社)を対象とした場合の報酬総額の分布(全体) 資料:プライスウォーターハウスクーパース

2010年3月期決算の上場企業(約2,600社)を対象とした場合の報酬要素構成比率 資料:プライスウォーターハウスクーパース

2010年3月31日に施行された改正内閣府令では、上場会社について、有価証券報告書に「提出日現在において報酬等の額又はその算定方法の決定方針がある場合、その内容及び決定方法」を開示することを求めている。

各業界売上高上位10社および売上高1兆円超クラスの大企業の役員を抱える約360社のうち、約10%に相当する30数社が有価証券報告書に「当社は役員の報酬等の額又は算定方法の決定に関する方針は定めておりません」などの記述をしている。

残る約90%の企業のうち、質・量ともに積極的な開示を進めている企業も散見されるが、多くは昨年と同様、または若干の記述内容の追加にとどまっている。