富士フイルムは7月13日、東京慈恵会医科大学(以下、東京慈恵医大)と共同で、iPhoneやiPadを使った脳卒中発症時などの緊急対応時における治療支援システムの共同研究を開始すると発表した。
今回の研究は、東京慈恵医大が試作開発したiPhone/iPad対応脳血管障害治療支援システム「i-Stroke」に対して脳卒中発症初期段階で必要とされる処置情報をやりとりする機能などを付加し、富士フイルムの医用画像情報ネットワークシステム「SYNAPSE」を連携させて緊急遠隔診断システムの構築を目指すというもの。
研究対象となるシステムは、脳卒中を発症した患者が搬送された病院から、院外の専門医が携行するiPhoneやiPadなどの端末に暗号化された患者の検査画像や診療情報を送信。薬の投与量などの処置情報のやりとりを可能にし、病院内での診断や治療を支援する仕組みとなっている。
富士フイルムによると「SYNAPSE」はすでに全国の約1400の施設に導入されているとされ、将来的には3D画像処理システム「SYNAPSE VINCENT」との連携も検討されているという。
同社は、「脳卒中治療は、発症から3時間以内に適切な薬剤投与や血栓を除去する血管内治療などの治療が行われれば、後遺症を軽減できる可能性が高いと言われているものの、すべての医療機関に高度な診断治療能力を持つ専門医を24時間常駐させることは難しいのが現状」という実態が今回の共同研究の背景にあるとしている。