東京エレクトロン デバイス(TED)は、米Infinite Power Solutions(IPS)と販売代理店契約を締結、太陽光、熱、振動などの環境から収集したエネルギーを貯蔵して永久電源を実現できる全固体マイクロエネルギーセル(2次電池)「THINERGY」(シナジー)の販売を2010年7月20日より開始することを発表した。
太陽光や風力などの環境(再生可能)エネルギーは、環境への負担が少なく枯渇の心配がないという利点がある半面、出力電圧が不安定なため、エネルギー貯蔵装置を用意して適切な電圧と電流を提供できるようにする必要がある。こうしたエネルギーの貯蔵装置としては電気2重層コンデンサがあるが、サイズが大きいため組み込み式の小型の電子装置には使用できないという難点があったた。
THINERGYは、固体の電解質であるLiPON(リン酸リチウムオキシナイトライド)を使用しているため、有害な化学物質を排出しないほか爆発、火事の発生の心配も無い。また、温度変化に強く、動作可能温度範囲は-40℃~+85℃となっている。
繰り返し充電性能は1万回以上で、25.4mm×25.4mm×0.17mmのフットプリントと薄さのため、プリント基板内への実装も可能。
さらに、自己放電率も1年間で1%を実現しており、環境発電(エナジーハーベスト)向け蓄電デバイスのほか、組み込み型無線センサ、アクティブRFIDタグ、貨物追跡タグ、パワードスマートカード、体内埋め込み式医療機器などのモバイル機器や遠隔操作機器への対応も可能となっている。
なお、TEDでは、同製品の適用領域として無線センサネットワークにおけるWSN(Wireless Sensor Node)や、アクティブRFID用の蓄電デバイスとしての用途を考えており、今後3年間で10億円の販売を目指すとしている。