本稿では、6月23日に東京で開催された日本ネクサウェブのユーザカンファレンスにて、 三菱電機コントロールソフトウェア 神戸事業所開発部ソフトウェア生産技術課グループリーダ 甲斐修氏が講演した内容をレポートする。
監視や制御を得意とする三菱電機コントロールソフトウェア
三菱電機の100%出資子会社のソフトウェア開発企業に三菱電機コントロールソフトウェア(以下、MCR)がある。事業は、三菱電機から受託する三菱電機事業と、そのほかの企業との取引をベースとした自主事業があり、前者は電力や工業、交通など産業・社会分野の監視・制御システム開発、カーエレクトロニクスシステムの開発、後者はシステムインテグレーション、Webシステムの受託開発、ソフトウェアパッケージ開発・販売、ハードウェア開発・販売等である。
MCRは東京海上日動メディカルサービス(TMS)の健康プロモーション事業部向けにシステムを開発。TMSは医療や健康増進サポートを提供するヘルスケアコンサルティング企業。MCRはこのTMS向けの健康管理システム開発にNexawebを採用した。
PCに不慣れなユーザが使える、インストール不要のシステム
2008年4月に「高齢者の医療の確保に関する法律」が施行された。同法律は健康保険組合などの医療保険者に対して特定健康診査・特定保健指導を義務づけるもの。これを受けて民間企業も含めた各機関へのアウトソーシングが開始され企業の参入がはじまったわけだが、TMSもこの事業への参入を決め、新しいシステムの開発が必要になった。MCRが開発した健康管理システムはこの要望に対応するものだ。開発するにあたっての要求事項は次の通り。
- 業務フローをシステムで定義して各機能を実行可能であること
- 割り込み作業に対応して各機能を通常フロー外で操作できること
- 設定したフローの各期限に対してアラートを出せること
- 作成帳票は外部へ印刷委託できる形式で生成できること
- 帳票テンプレートの定義やカスタマイズが可能であること
- モバイルPCへのデータダウンロードやモバイルPCからのアップロードが可能であること
- モバイルPCでも同一の操作性が提供されていること
- 利用者毎に利用可能機能やアクセス範囲が設定できること
- PCに不慣れなユーザが扱うことになるため、こうしたユーザでも簡単に扱えること
- さまざまな種類のユーザが扱うことになるためセキュリティに配慮したシステムであること
- 一覧表示や帳票画面表示で高いレスポンスを実現すること
- クライアントアプリケーションへのインストールが不要であること
- クライアントPCのブラウザに依存しないこと
健康管理システムを実現するにあたって重要な機能が実現できることはもちろん、実際にシステムを扱うユーザはPCに不慣れなユーザが多いため、そうしたユーザによっても扱いやすい必要があったという。しかもクライアントPCにインストールする必要がなく、オフラインでも利用できる必要があった。
インストール不要、オフライン可能、優れたプロトタイプ開発を実現するNexaweb
こうした要望に応えるためにMCRが採用したソリューションがNexawebだ。特に次のポイントがNexawebを採用する決め手になったという。健康管理システムで要求される機能を満たしていることがわかる。
- NexawebStudioを使ったプロトタイプ開発が可能
- プロトタイプ開発した画面をそのまま適用できる
- Nexawebが提供しているオフライン機能で簡単にオフライン対応を実現できる
- クライアントPCへのインストールが不要
- クライアントPCのブラウザに依存しない
- Nexawebの差分更新機能で一覧表示などを高いレスポンスで実現することが可能
Nexawebを採用したことで次のような評価を得ることができたという。
- 直感的で扱いやすいUIを実現
- インストール不要によるPC管理の排除
- NexawebStudioを使った効率のよい画面設計の実現
- 効率の高い開発の実現
MCRは監視や制御分野におけるシステム開発を得意分野としている。MCRでは今後そうした得意分野において、三菱電機事業および自主事業分野の双方でNexawebの適用を進めていきたいとしている。