NEC、KDDI研究所、三菱電機は7月8日、波長スイッチング光ネットワークの耐障害性を向上させる自動制御技術を各社が開発し、各社装置間の相互接続性検証に成功したことを発表した。
これにより、複数の異なるシステムが相互接続された光ネットワークで障害が複数個所で同時に生じても、自動的に装置が迂回経路を探索して障害復旧が行えるようになる。そのため、ネットワークの耐障害性が従来の2倍以上に向上し、大規模な災害が発生しても大容量な通信サービスが継続可能なネットワーク基盤が構築できる。
従来の光回線の設定は光をいったん電気に変換してから電気スイッチ(時分割多重化スイッチやIPルータなど)を介して行ってきたのに対し、波長スイッチング光ネットワークでは、電気スイッチを介さず"光のまま"回線設定を行うことが可能となるため、電力とコストが低減される。
3社はこれまで波長スイッチング光ネットワークの実現に向け、波長回線を自動設定する技術の共同実験に成功している。今回、同技術をさらに高度化し、多重障害時でも自動的かつ高速に経路がある限り光回線の迂回を実現する技術として、次の3つの技術の開発・動作検証に成功した。
IETF(Internet Engineering Task Force)で標準化が進められている波長ラベルに基づいたGMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching) OSPF-TE(Open Shortest Path First - Traffic Engineering)拡張により、装置間で波長の利用可否を通知し利用可能な経路を自動探索する経路制御技術
大規模災害時に複数の障害個所を迂回しながら、光回線を高速に再設定する経路迂回技術
異なるシステム間や既存の光伝送システムと相互接続が可能な異種光ネットワーク制御技術